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| マルチティアストレージの有効利用 | ||||||||||||||||
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マルチティアストレージとは、I/O処理速度、データ可用性、コスト特性がさまざまに異なる仮想ストレージデバイスまたは物理ストレージデバイスを混在させることによって、区分化されたオンラインストレージをコンピュータシステムに提供するという考え方です。このような考え方は、ユーザー側の要件に対応しながら、オンラインストレージの平均コストを最小限に抑える方法として、大規模なIT組織で定着してきています。
表3:ストレージの各層を定義する方法 これらのオプションはいずれも、可用性や性能の特性が異なり、それなりのコストも伴います。仮想化のテクノロジによって、複数のテクノロジを組み合わせて使うことが可能になりました。たとえば、2つのディスクアレイで構成するRAIDのLUNを、ホストを基盤としたVxVMなどのボリュームマネージャでミラー化する場合もあります。 ほとんどの企業は、絶対的に重要な基幹データセットをそれほど多く持っていません。その種のデータのために高価なストレージを限定的に設定し、重要度の低いデータには低コストのデバイスを使用すれば、提供するサービスの質を落とさずにストレージの全体的なコストを半分以下に削減できる場合もあります。 企業がデータセットを区分する理由は、ほかにもあります。たとえば、トランザクションデータと大きなデータストリームとでは、アクセスパターンが大きく異なるので、性能上の理由からその2つを区分するのは基本的に望ましいと言えます。また、さまざまなアプリケーションが同時にアクセスするデータセットが2つあるとすれば、I/Oリソースの競合を最小限に抑えるために別々のストレージデバイスに配置することになります。 このような状況はほかにも考えられますが、たとえすべてのデバイスの機能が同等であっても、ストレージを多層化して、種類の異なるデータを各層のデバイスに振り分けることにはメリットがあります。 各企業では基本的に、デジタル情報をファイル単位で編成しています。各ファイルは、業務上の目的に基づいて作成されます。文書、トランザクションテーブル、画像、オーディオトラック、ビデオトラックなどはいずれも、ファイルとして作成するのが便利であり、それぞれに業務上の目的や価値があります。したがって、ストレージの性能、可用性、コストを最適化するための対象になるのは、明らかにファイルであると言えます。 企業は多層構造のストレージを活用するために、それぞれのデジタルファイルをそれぞれの業務上の価値に見合ったコストで使用できるデバイスに振り分けるはずです。つまり、重要なファイルであれば、コスト高ではあってもパフォーマンスと信頼性に優れたデバイスに配置し、重要度の低いファイルであれば、パフォーマンスや信頼性がやや低くても低コストのデバイスに配置します。 1つのファイルまたは1つのファイルグループを適切なストレージデバイスに振り分ける作業は難しくありません。管理者は、たとえば適切な種類のデバイス上でフォーマットされたファイルシステムにユーザーやアプリケーションを割り当てることで、ファイルを適切に配置できます。マルチティアストレージを有効利用することの難しさは、ファイルの数にあります。数百万個のファイルを正しいデバイスに配置する作業は、ある種の自動処理がなければとても効率的に実行できるものではありません。 さらに、同じファイルであっても、適切な種類のストレージは時間の経過と共に変わっていきます。ファイルが古くなったり、アクセス頻度やサイズが増減したり、ファイルシステムの論理的なネームスペースの中で移動したりすれば、適切な種類のストレージデバイスも変わります。 たとえば、作成されたばかりのトランザクションレコードは、発注、出荷スケジュールの設定、請求、問い合わせなどのために頻繁にアクセスされるはずです。ところが、そのレコードが古くなると、アクセス頻度は下がります。それでも、時折生じるかもしれない問い合わせや、月末の締め、データマイニングなどのために、そのレコードをオンラインストレージに残しておくことは必要です。 そのような場合に、古くなってアクセス頻度が落ちたレコードを低パフォーマンス、低コストのストレージデバイスに移動すれば、トランザクションレコードをオンラインストレージに保存しておくための平均コストを大幅に圧縮できます。 しかし、ストレージの各層の間で数百万個のファイルを手作業で移動するのは不可能です。マルチティアストレージを有効利用するためには、自動処理が必要になります。ファイルの数が増えれば増えるほど、ファイルの利用度が高ければ高いほど、自動的なファイル配置システムの必要性は高くなります。 Storage Foundationのバージョン5に用意されているDST(Dynamic Storage Tiering)機能を使えば、管理のための手間をかけずに、マルチティアのオンラインストレージを有効利用することが可能になります。 DSTには次の2つの機能があります。
表4:DSTにある次の2つの機能 アプリケーションの側からは、VxFSのMVSファイルシステム(multi-volume file system)で使う個々のボリュームの存在は見えません。しかし、VxFS自体は各ボリュームの層の区分を認識しており、あらかじめ定義されているポリシーを実装することによって、各ファイルを格納するデバイスの種類を動的に制御できます。 VxFS管理者は、ファイルの初期位置と既存のファイルを移動するべき状況を自動的に制御するためのポリシーを定義します。ポリシーの中身は、ファイルの位置をストレージの各層に限定するためのルールです。ポリシーのルールに基づいて、各ファイルは特定の層で作成され、拡張されます。また、サイズ、I/O操作、ネームスペース内の位置などの条件に合致した場合は、他の層に移されます。 まとめとして、Storage Foundationを使用すれば、各ファイルを適切な種類のストレージで作成したり、状況の変化に応じて別の適切な種類のストレージに移動したりする作業を自動化できるので、管理のための手間をかけずに多層構造のオンラインストレージを有効利用することが可能になります。 |
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