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シマンテックイエローブック
ストレージ管理の標準化

第4回:マルチティアストレージの有効利用

著者:シマンテック   2007/5/2
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ストレージとデータの一元管理

   企業のデータセンターのシステムやストレージデバイスの数が増えると、データセンターの中で何がインストールされているのかを把握することだけでも大きな課題になります。数十個のポートで数百台のホストに数千個のLUNを提供できるエンタープライズディスクアレイについて考えれば、次のようなごく単純な質問に答えることも容易ではありません。
  • 特定のアレイによって提供されているLUN を使用しているのはどのホストか

  • 特定のホストにストレージを提供しているのはどのアレイか

  • データセンターにどのようなVxVMディスクグループが存在しているか、各グループを使用しているのはどのホストか

  • VxVM がミラー化、RAID5、またはスナップショットによって保護しているのはどのストレージか

  • どのファイルシステムがどのホストによってマウントされているか、各ファイルシステムの使用効率はどれほどか

  • データセンターのどこかに、再配備が可能な使用効率の低いストレージがあるか

  • データセンターでストレージやファイルシステムに関してどのような警告が出されているか

  • どのようなストレージ管理作業が実行されているか、結果はどうか

  • データセンターで、データの移行やボリュームのレイアウト変更など、長期にわたるストレージ管理作業によってどのような改善が見られているか

表1:エンタープライズストレージ管理とファイル管理に関する次の3つの大きなニーズ

   1つか2つ、あるいは5つのシステムで運用するデータセンターであれば、1 人のシステム管理者がコンソールから各システムに対してクエリーを実行し、その結果を記録することによって質問に答えることができます。ところが、データセンターのシステムやストレージデバイスの数が増えると、スプレッドシートによるストレージ管理では効果的に対応できなくなります。

   多数のシステム管理者がそれぞれ一定のサーバーの一定のアプリケーションやデータベースを担当し、アプリケーションのストレージ要件に対応する責任を担うストレージ管理者と連携していく必要があります。ストレージ管理者は、データセンター全体のストレージの割り振りや使用効率を常に見渡しながら、VxVM ディスクグループをホスト間で移動したり、データをディスクアレイ間で移行したりする一般的なストレージ管理作業を一元的に実行していかなければなりません

   バージョン5からは、Storage Foundation Management Server(SFMS)の機能によって、管理者がすべてのStorage Foundationオブジェクトを全体的に見渡し、全オブジェクトに関する総合的なレポートを生成することが可能になりました。さらに、ストレージとファイルシステムの一般的な管理作業をどこで実行するにしても、1つのコンソールから開始して制御することが、やはりSFMSによって可能になっています。

   SFMSは、Storage Foundation オブジェクト(ディスク、ディスクグループ、ボリューム、ファイルシステム)や関連オブジェクト(データベース、管理対象サーバーなど)を検出し、中央データベースにそれらの特性や状態をデータとして取り込みます。Storage Foundationがインストールされているシステムでは、エージェントと呼ばれるSFMSコンポーネントが稼働し、ストレージとデータの環境に変化が生じた場合にSFMSが中央データベースを更新するための情報を提供します。

   Storage Foundation Managementには、レポートとモニターのためのコンポーネントも用意されています。これらのコンポーネントによって、Storage Foundationオブジェクトの状態を追跡管理し、ストレージ関連のイベントに応答できます。さらに、一般的なストレージ管理タスクの作成と実行を簡略化するためのアクティブな管理ツールもあります。SFMSのレポートを活用すれば、次の作業が可能になります。

  • データセンターの各ファイルシステムに割り振られているストレージの平均使用効率など、データセンターのストレージの全体的な状況をまとめる作業

  • 使用効率の低いストレージがシステムに割り当てられている場合の再配備の検討など、実行するべき管理作業を識別する作業

  • 他のコンポーネントの障害によって停止、あるいは停止する危険があるボリュームや、他のコンポーネントの障害によって中断、あるいは中断する危険があるストレージアクセスパスの特定など、問題領域を洗い出す作業

表2:SFMSのレポートを活用することで可能になる作業

   SFMSの警告追跡管理機能を使えば、管理者がストレージ関連の警告を全体的に見渡し、実際にアプリケーションサービスの中断に至る前に、問題になり得る領域を識別し、優先度を定め、適切な処置を講じることが可能になります。

   SFMSに用意されている各種ウィザードを使用すれば、管理者がVxVMディスクグループの制御をホスト間で移動したり、データをボリュームセット間で移行したりする重要な管理タスクを簡略化できます。ウィザードを活用すれば、作業のセットアップ時間を短縮できるばかりか、多忙な管理者が重圧の下で片手間に抱えているような作業を実行するときに発生し得るエラーを最小限に抑えることもできます。

   さらに、各データセンターには独自の手順があるものです。そのようなカスタムストレージ管理タスクの定義をユーザー側で格納し、必要なときに実行し、コンソールから進行状況を追跡管理することも、SFMSによって可能になっています。たとえば管理者は、企業のすべてのWebサーバーに関して、Web ページファイルシステムのデフラグを実行するコマンドを組み込んだSFMSタスクを定義できます。

   そのタスク定義をSFMSデータベースに保存しておけば、必要なときにいつでも実行できます。たとえば、Webサイトの更新などの外部イベントによってWebサーバーのファイルシステムが大きく変更される可能性がある場合などに、そのタスクを実行できます。

   まとめとして、Storage Foundation Management Serverを使用すれば、管理者がデータセンターの仮想ストレージデバイスとファイルシステムをすべて見渡し、データセンターのストレージコンポーネント全体に対する操作の結果を視覚的に確認しながら一元的に管理することが可能になります。

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シマンテックイエローブック

本連載は、シマンテックイエローブック「ストレージ管理の標準化〜Veritas Storage Foundation.を使って、企業全体のストレージ管理効率を向上」からの転載記事です。シマンテックイエローブックとは、ITプロフェッショナルの方や一般の技術者に対して、技術的なノウハウを提供する本です。これらの本はシマンテックのソリューションを使って実際のビジネスや技術上の問題を「どのように解決するのか」について書かれています。またベストプラクティスに基づく推奨事項に加え、インストール、設定、製品の統合についても詳しく解説されております。詳しくは、下記のURLを参考にしてください。

http://www.symantec.com/ja/jp/enterprise/yellowbooks/index.jsp

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著者プロフィール
株式会社シマンテック
シマンテックは、情報のセキュリティ、アベイラビリティ、整合性の確保に役立つソリューションを個人や企業のお客様に提供する世界的なリーダーです。米国カリフォルニア州クパティーノに本社を置くシマンテック コーポレーションは、現在、世界40ヶ国以上で事業を展開しています。

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