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シマンテックイエローブック
ストレージ管理の標準化

第6回:Storage Foundationのコアの概要(VxFS)

著者:シマンテック   2007/5/14
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マルチティアストレージの有効利用

   各企業では、デジタル情報をファイルごとに編成しています。各ファイルは通常、業務上の目的に対応しており、文書、トランザクション、画像、オーディオトラックなど、さまざまな種類の業務用デジタルオブジェクトが存在します。このように、各ファイルには、それぞれ業務上の価値があります。したがって、ストレージやI/Oのコストや性能を最適化する場合にも、その対象になるのは明らかにファイルです。

   多層構造のストレージの価値を引き出すためのかぎになるのは、ストレージデバイスの種類に応じて各ファイルを配置することです。つまり、重要なファイルであれば、コスト高ではあってもパフォーマンスと信頼性に優れたデバイスに配置しますが、重要度の低いファイルであれば、サービスの質はやや落ちるものの低コストのデバイスに配置できます。1つのファイルを適切な種類のストレージデバイスに配置するのは、難しい作業ではありません。管理者は、デバイスの種類に応じて、各ファイルシステムにユーザーやアプリケーションを割り当てることができます。

   ところが、問題になるのはファイルの数です。数百万個のファイルを適切なストレージデバイスに配置するには、相当な時間がかかるはずです。厳密な構造やある種の自動処理がなければ、とても現実的な手法とは言えません。

   さらに大きな課題になるのは、ファイルごとの適切な種類のデバイスは時間の経過と共に変わるということです。ファイルが古くなったり、あまり使われなくなったり、サイズが増減したり、ディレクトリ間で移動したりすると、適切な種類のデバイスも変わってきます。ストレージの各層の間で数百万個のファイルを手作業で移動していては、きりがありません。特に多数のファイルを含んだファイルシステムの場合は、多層構造のストレージを有効利用するために、自動処理が不可欠になります。

MVSファイルシステムとDynamic Storage Tiering機能

   VxFSのDST(Dynamic Storage Tiering)機能を使えば、管理のためのコストをかけずに、マルチティアストレージのコスト面や他の面の価値を引き出すことが可能になります。DST には2つの部分があります。1つはMVSファイルシステムであり、もう1つはポリシーに基づいてファイルシステムの各ストレージに自動的に配置する機能です。

   MVSファイルシステムは、その名のとおり、2つ以上の仮想ストレージボリュームにまたがるファイルシステムです。VxFSのMVS ファイルシステムでは、ネームスペースが1つしかないので、複数のボリュームの存在は、ユーザーやアプリケーションの側には見えません。しかし、VxFSの内部では各ボリュームを識別しているので、管理者が個々のファイルの位置を制御するためのポリシーを定義することが可能になっています。

   VxFSのMVS ファイルシステムの基盤になっている一連のVxVMボリュームは、ボリュームセットとして認識されます。各ボリュームは、それぞれ種類が異なる場合もあれば(ストライピング、RAID-5、ミラーリング)、基盤になっているハードウェアが異なる場合もあります(さまざまな種類のディスクアレイのLUN、さまざまなダイレクトアタッチストレージ(DAS)ディスクなど)。VxVMボリュームに基づいてストレージを多層化することには、重要な利点があります。必要に応じて、各ボリュームのキャパシティや構成をどのようにでも変更できるということです。また、I/O処理速度や耐障害性などのために、複数のディスクアレイにまたがるボリュームを構築することも可能です。

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INDEX
第6回:Storage Foundationのコアの概要(VxFS)
  ファイルシステムの役割
  VxFSの高度な機能
  Flash Snapスナップショット
マルチティアストレージの有効利用