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ストレージ管理の標準化
第6回:Storage Foundationのコアの概要(VxFS)
著者:
シマンテック
2007/5/14
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ファイルシステムの役割
ファイルシステムとは、物理ストレージデバイスまたは仮想ストレージデバイスによって提供されるブロックを、アプリケーションやユーザーが扱いやすいファイル形式に変換します。ブロックにアクセスするストレージデバイスに比べて、ファイルには便利な名前を付けることができ、作成、拡張、縮小、削除などの操作を簡単に実行できます。アプリケーションにとってもユーザーにとっても、たいへん便利で使いやすいと言えます。
UNIXオペレーティングシステムのためのソフトウェア標準化団体であるPOSIXは、ファイルにアクセスするアプリケーションプログラムのインターフェースセットを標準化策定しました。この規格に準拠しているアプリケーションであれば、各種のUNIXプラットフォームの間で変換や移植を行う場合でも、ファイルアクセスのロジックを変更する必要はありません。
すべての商用UNIXプラットフォームには、POSIX準拠のネーティブファイルシステムが組み込まれています。特にLinuxなどにはいくつかのファイルシステムが用意されており、ユーザーの用途に応じてファイルシステムを選択できるようになっています。UNIXシステムは、2つ以上のファイルシステムを同時に実行し、それぞれで別々のストレージデバイスのブロック領域を管理することが可能です。
Storage FoundationのVxFSファイルシステムをインストールしたシステムでは、ネーティブのファイルシステムを補完する形で、またはネーティブのファイルシステムの代わりとして、VxFSファイルシステムを使用できます。
すべての商用UNIXファイルシステムはPOSIXに準拠しているので、アプリケーションに対して同じ基本機能を提供できます。したがって、各ファイルシステムの違いは、それ以外の属性によります。たとえば、次のような属性があります。
堅牢さ(システムのクラッシュ、ハードウェアの障害、アプリケーションやユーザーのエラーから回復する能力)
拡張性(適度な性能レベルで数百万個のファイルやテラバイトクラスのストレージを管理する能力)
高度な機能(プラットフォーム間のポータビリティ、スナップショット、異なるTier のマルチデバイスサポート)
表1:各ファイルシステムの属性の違い
オペレーティングシステムプラットフォームに用意されているUNIXのネーティブファイルシステムとVxFSの違いを示す特性は、ここに示したような堅牢さ、拡張性、高度な機能です。
ファイルシステムによるストレージ管理
ファイルシステムは、1つ以上のストレージデバイスまたは仮想ボリュームによって提供される番号付きのブロックをユーザーファイルやメタデータに編成します。ファイルシステムのメタデータには、次のような目的があります。
ユーザーファイル内のデータのブロック位置や、名前、所有権、アクセス権限などの一般的なファイル特性を記述します
論理的に配置されているファイルのツリー構造を記述します
ファイルシステムで管理するストレージデバイスブロックの状態(新しいファイルを割り振るために使用できるのはどのブロックか、ユーザーデータや他のファイルシステムメタデータによって占有されているのはどのブロックか、など)を記述します
ファイルシステム全体に関わるプロパティ(ファイルシステムで管理するボリュームのチューニングパラメータや特性など)を記述します
表2:ファイルシステムのメタデータの目的
ファイルシステムの設計で重要なもの
ファイルシステムの設計において重要となるのは、メタデータの構造とメタデータを操作するためのアルゴリズムです。つまり、ブロック領域内の情報との整合性を内部で維持する必要があるということです。たとえば、すべてのストレージブロックは、使用可能な状態として設定されているか、1つの目的のために使用されるか、のいずれかになっていなければなりません。
メタデータの更新中にシステムがクラッシュして、メタデータの不整合状態が発生する可能性もあるので、異常終了後に再起動するファイルシステムでは、ユーザーやアプリケーションがファイルにアクセスする前に、メタデータの整合性を確認する必要があります。
UNIXでは、fsckと呼ばれるUNIXユーティリティ(ファイルシステムチェッカー)を使用して、ファイルシステムのすべてのメタデータをさまざまな観点からチェックします。たとえば、ストレージデバイス内に失われたブロック(使用不可になったブロックや他の目的のために割り振られたブロック)がないこと、2つ以上の目的のために(たとえば2つのファイルに)割り振られたブロックがないこと、などを確認します。
ファイルシステムの設計において大きな問題となるのは、システムクラッシュ後にメタデータの整合性を確認する機能です。メタデータチェックの主な目的は、ファイルシステムのメタデータの整合状態を確認することなので、この機能ではシステム全体をもれなくカバーする必要があります。
ところが、ファイルシステムにファイルが追加されるにつれて、メタデータの量が増え、構造がますます複雑になっていくと、クラッシュ後のファイルシステムチェックにかかる時間もどんどん長くなってしまいます。ファイルシステムチェックにかかる時間の長さは、重要な意味を持っています。システムのクラッシュ後にファイルシステムの構造的な整合性が確認されるまで、アプリケーションは再起動できず、ユーザーはデータにアクセスできないからです。
数百万個のファイルを含んだファイルシステムであれば、チェックに数時間かかることもあります。この復旧に要する時間は、システムのクラッシュによるアプリケーションのダウン時間とは別に発生するものであり、システムをどれだけ早く再起動できたとしても、チェックに長い時間がかかってしまえば意味がありません。
そのため、VxFSなどのエンタープライズファイルシステムでは、メタデータ操作をログに記録し、システムのクラッシュ後の復元時にそのログを再生することによって、リスクのあるメタデータだけを識別して修復する機能を持っています。
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シマンテックイエローブック
本連載は、シマンテックイエローブック「ストレージ管理の標準化〜Veritas Storage Foundation.を使って、企業全体のストレージ管理効率を向上」からの転載記事です。シマンテックイエローブックとは、ITプロフェッショナルの方や一般の技術者に対して、技術的なノウハウを提供する本です。これらの本はシマンテックのソリューションを使って実際のビジネスや技術上の問題を「どのように解決するのか」について書かれています。またベストプラクティスに基づく推奨事項に加え、インストール、設定、製品の統合についても詳しく解説されております。詳しくは、下記のURLを参考にしてください。
http://www.symantec.com/ja/jp/enterprise/yellowbooks/index.jsp
著者プロフィール
株式会社シマンテック
シマンテックは、情報のセキュリティ、アベイラビリティ、整合性の確保に役立つソリューションを個人や企業のお客様に提供する世界的なリーダーです。米国カリフォルニア州クパティーノに本社を置くシマンテック コーポレーションは、現在、世界40ヶ国以上で事業を展開しています。
http://www.symantec.com/jp
INDEX
第6回:Storage Foundationのコアの概要(VxFS)
ファイルシステムの役割
VxFSの高度な機能
FlashSnapスナップショット
マルチティアストレージの有効利用