TOP調査レポート> Payback Periodの算出
IT投資効果分析
ビジネスモデルの変革を伴うIT投資効果分析の考え方

第3回:価値評価を考慮したIT投資評価

著者:オープンストリーム  赤穂 満   2007/5/16
前のページ  1  2  3
Payback Periodの算出

   PP(Payback Period)の算出には、金銭の時間的価値をキャッシュフローに組み込むことで、より現実的な投資回収期間を見積ることが可能となる。
現実的な投資回収期間を見積る
図6:現実的な投資回収期間を見積る
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   PP算出の際には、以下のポイントに留意する。

  • 投下投資額の範囲でのみ、資金調達におけるプロジェクトリスクが考慮される
  • 投資回収後のキャッシュフローが判断基準に含まれない。
  • 金銭の時間的価値が無視されている

表5:PPの留意ポイント


次世代のIT投資評価:企業価値の評価から

   ITが企業価値に大きな影響を与える機会を提供する道具と定義した場合、業務価値と顧客価値の観点からIT投資を捉える必要がある。

   業務価値とは顧客に製品やサービスの提供を向上させることである。顧客価値とは製品・サービスの付加価値を向上させることだ。

   それぞれの評価指標を表6に示す。

業務価値の評価指標
  • 人件費の削減
  • 顧客満足度の向上
  • 不良製品の減少
  • 顧客サービスの向上
顧客価値の評価指標
  • 売上高増大
  • 顧客収益性の向上
  • 継続的、安定的ビジネスの獲得

表6:IT投資効果の算定を行う評価指標

   ここまで3回に渡って、企業がITへの投資の際に必要となる数字的な判断材料をいかに算出するかを説明してきた。上記のような評価指標を用いてIT投資効果の算定を行う。なお、顧客価値の評価指標を用いた投資効果の算定については別の機会に述べたい。

   経営的には必要/不必要といったものだけではなく、費用対効果のみならず、様々な観点から投資というものを考えていかなければならないことがおわかりになられただろうか。普段、あまり目にしないような数式や用語が多くなってしまったが、次世代のITを担う人たちへ今後の参考となれば幸いである。

前のページ  1  2  3


株式会社オープンストリーム  赤穂 満
著者プロフィール
株式会社オープンストリーム  赤穂 満
サービス推進兼SAXICE推進担当 統括ディレクタ
活動状況:これまでに、製品ライフサイクル、製品構成情報管理やビジネスモデルなどに関する解説記事、論文多数。
所属学会:日本設計工学会、経営情報学会、ビジネスモデル学会、正会員。


INDEX
第3回:価値評価を考慮したIT投資評価
  投資価値の判断について
  正味現在価値(NPV)の算出
Payback Periodの算出