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Red Hat Enterprise Linux 5
Red Hat Enterprise Linux 5サーバ管理の基礎

第3回:vsftpサーバとNFSサーバの設定

著者:日本ヒューレット・パッカード  古賀 政純   2007/6/20
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NFSサーバ

   NFSサーバはUNIXやLinuxでファイルサービスを提供します。NFSサーバはインターネットでの利用は少なく、主にLANで利用されます。NFSサーバの設定は非常に簡単ですが、パフォーマンスの調整が難しいといわれています。設定が簡単で容易に導入できてしまいますが、実運用に耐えられるパフォーマンスを提供できるかの見極めが非常に難しいからです。

   ここでは、パフォーマンスを考慮せず、単純にNFSサーバを構築し、NFSクライアントからNFSサーバの資源にアクセスできるようになるための最低限の手順を紹介します。

最低限必要なNFSサーバの設定

   NFSサーバの設定ファイルは「/etc/exports」にあります。このファイルにはNFSサーバが提供するディレクトリを記述しますので、viエディタなどで編集してください。

設定ファイルを編集する
図6:設定ファイルを編集する
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   今回はNFSサーバで「/var/www/html」ディレクトリをNFSクライアントに提供することにします。ちなみに「/var/www/html」ディレクトリをNFSサーバによって提供することを「/var/www/htmlディレクトリをクライアントにNFSエキスポートする」といいます。

   NFSエキスポートするディレクトリ/var/www/htmlに対して、「*(rw,aync,no_root_squash)」を記述しています。これは以下のような機能を実現するものです。

オプション 機能
* すべてのホストに対してNFSサービスを提供
rw /var/www/htmlへNFSクライアントが読み書き可能
async NFSのI/O処理を非同期で行う
no_root_squash NFSクライアントがroot権限でアクセスした場合は、NFSサーバでもroot権限でアクセスしたものとみなす

表1:オプション機能例

NFSエキスポートするディレクトリに対してオプションを記述する
図7:NFSエキスポートするディレクトリに対してオプションを記述する
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   テストとしてNFSサーバを構築するには、このオプション設定で構築可能です。ただしセキュリティ設定やパフォーマンス、アクセス制限などを一切考慮していないので、本番環境で上記の設定をそのまま利用することは絶対に避けてください。


NFSサービスの状態確認、起動

   /etc/exportsファイルの設定が終了したらOS起動時にNFSサービスも自動的に起動するよう「chkconfigコマンド」でNFSサービスをONにします。

# chkconfig nfs on

   Red Hat Enterprise Linux 5のデフォルトでは、NFSサーバはoffになっています。NFSサーバを構築するなら必ずonにしてください。次にserviceコマンドによってNFSサービスを起動します。

chkconfigコマンドでNFSサービスをONにする
図8:chkconfigコマンドでNFSサービスをONにする
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   NFSサービスを起動したときに「NFSサービス」「NFSクォータ」「NFSデーモン」「NFS mountd」のすべてが起動できていることを確認してください。

NFSサービスに関連するものがすべて起動していることを確認
図9:NFSサービスに関連するものがすべて起動していることを確認
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   NFSサービスがすべて起動できていることを確認できたら、実際に/var/www/htmlディレクトリがNFSエキスポートされているのかを確認します。NFSエキスポートされているディレクトリを確認するには、showmountコマンドを用います。

# showmount -e localhost

   showmountコマンドで出力されたディレクトリが「NFSエキスポートされたディレクトリ」です。図9では「/var/www/html」がNFSエキスポートされているものです。NFSエキスポートされているディレクトリの右に「*」が表示されている場合は、どのLANセグメントのどのホストに対してもNFSエキスポートしていることを意味します。ここで「/etc/exports」ファイルに設定した内容が正しいかどうかを確認しておきます。

   以上でNFSサーバ側の設定はすべてです。「/var/www/html」ディレクトリ以下にあるWebコンテンツをNFSクライアントに提供できました。

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日本ヒューレット・パッカード株式会社 古賀 政純
著者プロフィール
日本ヒューレット・パッカード株式会社
古賀 政純

2000年よりUNIXベースのHAクラスタシステム及び、科学技術計算システムのプリセールスに従事。並列計算プログラミング講習会などを実施。その後、大手製造業及び官公庁系の大規模Linuxクラスタの導入、システムインテグレーションを経験。現在は、大規模エンタープライズ環境向けのLinuxブレードサーバ及びHP Serviceguard for Linux(HAクラスタソフトウェア)のプリセールスサポート、システム検証を担当している。毎日、Linuxサーバと寝食を共に(?)しています。


INDEX
第3回:vsftpサーバとNFSサーバの設定
  vsftpサーバ
  FTPクライアントからのファイルのアップロード試験(rootユーザの場合)
NFSサーバ
  NFSクライアントからの接続テスト