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2007年中堅・中小企業におけるサーバOSの利用実態 |
第2回:中堅・中小企業におけるサーバOSはWindowsがデファクト状況
著者:ノークリサーチ 伊嶋 謙二 2007/6/22
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旧Windowsを継続利用する理由 - 「移行する必要性を感じない(まだ十分に使えるから)」が6割以上
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「旧Windowsを使い続ける」と回答する理由はどこにあるのか? それを図3で示している。「移行する必要性を感じない(まだ十分に使えるから)」が63.3%と圧倒的、「移行作業が大変」が29.9%、「移行した後、正常に動作するか不安」が25.1%、「予算がない」が23.6%となっている。結果は経年で見ても大差はない。
サポートが停止した(もしくは停止時期が迫っている)OSをユーザは「移行する必要性を感じない」と考えている。現在も十分に稼動していることに加え、ユーザ自身のITリテラシの向上に伴い古くから使い慣れたOSであるから「サポートがなくても使える」という判断だ。

図3:旧Windowsを継続利用する理由 (07年は「Windows NT/2000」を、06年は「Windows NT」を旧OSと定義し、それをサーバOSとして利用する理由を質問) (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
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企業規模別旧Windows を継続利用する理由 - 小規模企業は「予算がない」、大規模企業は「移行作業が大変」に傾向見える
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上記の2007年の結果について、さらに企業規模別に集計した表2を見てみよう。全体集計でも回答の約6割を占めていた「移行する必要性を感じない(まだ十分に使えるから)」傾向は、企業規模に関わらず同じような結果となった。しかし、他の項目別には企業規模の大きさに有意差が見える。
年商 |
N |
予算がない |
移行作業 が大変 |
移行した後、正常に動作するか不安 |
移行する必要 性を感じない (まだ十分に 使えるから) |
その他 |
10億円 未満 |
86 |
32.2% |
23.7% |
20.3% |
64.4% |
5.1% |
10〜100億円未満 |
352 |
23.1% |
29.3% |
24.4% |
62.8% |
5.8% |
100億円以上 |
249 |
21.6% |
33.3% |
27.8% |
65.4% |
5.6% |
未回答・不明 |
9 |
12.5% |
25.0% |
25.0% |
25.0% |
25.0% |
合計 |
696 |
23.6% |
29.9% |
25.1% |
63.3% |
5.9% |
表2:企業規模別旧Windowsを継続利用する理由 (Windows NT/2000を継続して利用する理由を質問)
10億円未満の企業では、「予算がない」が32.2%、「移行作業が大変」が23.7%となっている。10〜100億円未満の企業では、「予算がない」が23.1%、「移行作業が大変」が29.3%。100億円以上では「予算がない」が21.6%、「移行作業が大変」が33.3%となっている。
10億円未満の規模の小さな企業では「予算がない」ことによる要因が、100億円以上では「移行作業が大変(管理台数が多いため)」という傾向がみえる。しかし、総体としては「移行する必要性を感じていない(まだ使えるから)」ことが、Windows 2003への移行にフルシフトしない理由だ。
最後に、中堅・中小企業がベンダサポート期間の停止した、機能的に前世代のOSを利用することの危険性やリスク、そして企業のアプリケーション、IT活用、戦略について理解した上で旧Windows を利用しているかどうかが問題だ。もし新OS移行が必須ならば、「売る側」はユーザ企業に対して正確にその理由やメリットなどを訴求、提案する必要性が高い。
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総括
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07年の中堅・中小企業におけるサーバOSは、Windowsのデファクト状況はさらに高まり、Windowsによる市場マッピングは完成された。一方Linuxの利用率は一桁台の利用率でほとんど変化なしといえる。
前回06年では「中堅・中小企業市場で利用されているサーバOSはWindowsが主流」と言われている中で、マスコミ、業界誌などを含めOSS(オープンソースソフトウェア)として注目されていたLinuxが、どの程度普及が進んでいるかを見極めることと、同時に「LinuxはWindowsの対抗馬か?」ということを検証する目的を持って調査を行った。
結果は「中堅・中小企業のサーバOSはWindowsがデファクトで、Linuxは情報系の単機能サーバOSとしてWindowsと一部分を共存していくとみるのが妥当」という結論で締めくくった。
今回07 年調査は、有効回答数が1,140件と前回より200件以上増加(回答数の増加はより確かさが増している)する中での結果だ。「中堅・中小企業市場で利用されているサーバOSはWindowsがデファクト」という事実がほぼ確定した。Linuxの利用意向はマイナスに傾いている。
今回の中堅・中小企業におけるサーバOS分析は、昨年の「Windows VS Linux」という構図分析に加え、「Windowsによる市場マッピングが完成」したこと、「旧WindowsのWindows 2003へのシフト状況」に焦点を当てて分析を行った。
新旧のWindowsのシェア、そして方向を見定めることがフォーカスポイントだ。既にベンダサポート期間が終了している「Windows NT」や、標準サポート期間が終了し延長サポート期間に入っている「Windows 2000」のように、旧バージョンと位置付けられるWindows OSを依然として利用しているユーザが多いことが分かっている。「旧Windows」ユーザがどう動くのかというのがこの分析のポイントだ。
「旧Windows利用企業のWindows 2003への移行希望率は4割を超える」という結果に注目したい。新OSへの着実な移行が進みつつあることを物語っている。しかし同時に「旧Windowsを継続利用が5割」という点も特徴的だ。ITリテラシの向上に伴い、旧OSでも使えるものと判断して利用している場合が多い。
中堅・中小企業が、ベンダサポート期間の停止した機能的に前世代のOSを利用することの危険性やリスク、そして企業のアプリケーション、IT活用、戦略について理解した上で旧Windowsを利用しているかどうかが問題だ。もし新OS移行が必須ならば、「売る側」はユーザ企業に対して正確にその理由やメリットなどを訴求、提案する必要性が高い。つまり今回調査で、「中堅・中小企業におけるサーバOSはWindowsがデファクト状況」が確定したのと同時に、Windows 2003への移行も順調だが、多くの「旧Windows」の継続利用という現実も見逃せないのが実態だ。
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著者プロフィール
株式会社ノークリサーチ 伊嶋 謙二
1956年生まれ。1982年、株式会社矢野経済研究所入社。パソコン、PC(IA)サーバ、オフコンなどをプラットフォームとするビジネスコンピュータフィールドのマーケティングリサーチを担当。とくに中堅・中小企業市場とミッドレンジコンピュータ市場に関するリサーチおよび分析、ITユーザの実態を的確につかむエキスパートアナリスト/コンサルタントとして活躍。1998年に独立し、ノーク・リサーチ社を設立。IT市場に特化したリサーチ、コンサルティングを展開すると同時に、業界各誌への執筆活動も積極的に行っている。
ホームページ:http://www.norkresearch.co.jp/
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