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Ubuntu Serverの特徴
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高品質なデスクトップ環境として有名になったUbuntuですが、サーバOSとしても優れたOSです。ここでは「Ubuntu Server」と呼ばれるUbuntuサーバ版の特徴を紹介します。
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Debianから受け継いだ堅牢かつメンテナンスの容易なシステム
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Debianは、ボランティアにより開発されている「完全にフリーなLinuxディストリビューション」です。堅牢でメンテナンスのしやすいOSとして評価が高く、特にLinuxシステムに深い知識を持ったユーザにはサーバOSとしても人気があります。
このDebianをベースとして開発されているUbuntuは、Debianの優れた特徴を受け継ぎつつ、定期的な新バージョンのリリースと一定期間のサポート(セキュリティフィックスおよびバグフィックスの提供)が保証されたOSであるといえます。
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システム管理者の負担軽減を重視
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Ubuntuプロジェクトでは、サーバ版もデスクトップ版と同じように「インストールすればすぐに使える」ことが重要だと考えられています。そのため、多様なサーバアプリケーションがパッケージとして提供されており、コマンド1つでダウンロードとインストールを行うことができます。
また、各サーバアプリケーションのパッケージには標準的な設定ファイルが添付されており、サーバ管理者が設定ファイルを配置・編集する手間が最小となるように作られています。
さらに、Ubuntu ServerのインストーラにはLAMPサーバのセットアップ機能が搭載されています。この機能を利用すれば、インストール完了後すぐにUbuntuをLAMPサーバ(Linux、Apache、MySQL、PHPが稼働するサーバ)として利用できます。
将来的には、仮想化やクラスタリングを簡単にセットアップする機能や、複数のUbuntu Serverを一元的に管理するための機能を搭載することが計画されています。
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Canonical Ltd.による品質保証
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サーバOSを選択する上で重要なのが、セキュリティフィックスやバグフィックスが継続的に提供されるかどうかです。フリーなOSの多くは基本的にボランティアベースで開発されているため、この点において不安があります。ボランティアは、急に仕事が忙しくなるなどの理由で作業できなくなることもあるからです。
そこでUbuntuプロジェクトでは、Canonical Ltd.がUbuntuの中心的な開発者を雇用するという方法で、この問題に対応しています。もし、ボランティアの中に作業する人がいなかったとしても、品質の維持と向上に必要だと考えられる作業はCanonical Ltd.の社員によって行われます。これにより、定期的にリリースを行うことと、前もってサポート期間を宣言することが可能となっています。
しかしながら、Canonical Ltd.に何か問題が発生してUbuntuの開発をサポートし続けることができなくなる可能性もあります。Ubuntuの創設者で、Canonical Ltd.を設立したMark Shuttleworth氏は、この懸念を払拭するために1千万ドルを出資し、Ubuntu財団を設立しました。万が一Canonical Ltd.がUbuntuの開発を続けることができなくなった場合には、Ubuntu財団がこの資金を利用してUbuntuの開発とサポートを継続します。
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フリーとエンタープライズレベル品質の両立
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現在、企業や政府のほとんどが、Windowsをはじめとする商用OSや、Red Hat Enterprise Linuxをはじめとする有償のLinuxディストリビューションなどを、サーバOSとして採用しています。
Ubuntuプロジェクトの狙いの1つが、この状況を打ち破ぶり、フリーなOSであるUbuntuをサーバOSとして普及させることです。そのために、Ubuntuを誰もが無償で自由に利用できるエンタープライズレベルの品質を備えたサーバOSとして育てています。
また、コミュニティによる無償サポートに加えて、Canonicalや他のサポート企業による有償サポートも提供されています。これにより、自らUbuntuサーバをセットアップ/管理できるユーザは、無償でUbuntuをサーバOSとして利用することができますし、有償サポートが必要が企業や政府も安心して採用することができるのです。
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著者プロフィール
Ubuntu Japanese Team 小林 準
Ubuntuプロジェクトのオフィシャルメンバーで、Ubuntu Japanese Teamの代表として活動している。最近は、業務でUbuntuをサーバOSとして利用することも多くなってきた。著書に「独習Linux」(翔泳社、2007年1月)がある。
http://junkobayashi.jp
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