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プロジェクト管理基盤
「プロジェクト管理基盤」整備のススメ〜対症療法に陥らないために〜

第2回:プロジェクト管理の前提条件

著者:ウルシステムズ  本園 敏文   2007/8/17
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第2の前提条件「スキルを持つ個人のモチベーション」

   個人にスキルや才能さえあれば常に結果をだせるかというと、それほど単純ではありません。個人のスキルがプロジェクトの結果に結びつくためには、当の個人がプロジェクトにコミットしていなければなりません。いわゆる「モチベーションの問題」です。

   この問題についてはご自身の経験を踏まえて、皆さんもよくご存知のことと思います。スキルを持っているということと、そのスキルを発揮するということとは別問題です。100のスキルレベルを持っていても、モチベーションが低く、20しか結果に結びつけられないとすれば、それは20のスキルレベルしか持っていないことと同じことです。

   当初の予定の20パーセントの結果しかだせていないという事実は問題であり、さらに、100のスキルに値するコストをプロジェクトが負担していながら、20の価値しか引きだせていないという点でも問題です。
スキルだけでは結果はでない
図1:スキルだけでは結果はでない

   実績のあるメンバーをチームに加えただけで、プロジェクトが成功するわけではありません。実績のあるメンバーでも、その能力をフルに発揮できる環境というものが存在します。それは高スペックのマシンなど、物理的な条件だけではありません。人間関係や裁量権限なども重要な検討要件に入ってきます。こうした環境整備も真剣に考えなければなりません。

   スキルの高いメンバーというものは、もともと高いモチベーションを持っていることが多いようです。そのモチベーションをわざわざ下げてしまうようなことをしない限り、この点はそれほど心配する必要はないと思われるかもしれません。

   しかし本人のプロジェクトへの参加意識が低下し、いったんモチベーションが下がってしまうと、もはや質の高い成果物を期待することはできなくなってしまう危険性は存在します。この問題は常に意識しておくべきでしょう。

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ウルシステムズ株式会社 本園 敏文
著者プロフィール
ウルシステムズ株式会社  本園 敏文
シニアコンサルタント。既存のプロジェクト管理手法と知識体系をベースに、曖昧・不確実な世界から目に見える結果を引き出すための、トータルなナレッジの確立および現場へのフィードバックが目下の関心事。


INDEX
第2回:プロジェクト管理の前提条件
  多方面にわたる「人」の問題
第2の前提条件「スキルを持つ個人のモチベーション」
  第3の前提条件「チーム内の質の高い連携」
  これからどうするか