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徹底比較!!クラスタソフトウェア
第10回:クラスタソフトウェア導入に際しての注意点
著者:
バックボーン・ソフトウエア 青木 浩朗
2006/2/1
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機能比較のポイント
事前の用件によって、あらかじめ絞られた選択肢を機能によってさらに細かく確認していきます。機能の詳細は各ベンダーでの記事で確認してもらうとして、ここでは機能を使う際のポイントをチェックしてきます。
障害検出の仕組み
HAクラスタは、障害が発生した際に問題のあるリソースを正常なノードで稼動できるようにする仕組みです。そのため、常にリソースの動作状況を監視し、障害が発生したということをいち早く検知できる機能を備えていることが重要となります。
主な監視対象としては次のような種類があります。
ディスク監視
ネットワーク監視
OSのストール監視
アプリケーションの監視
表1:主な監査対象の種類
製品によっては標準で監視機能が標準機能として備えていなかったり、有償オプションであることもあります。特に重要なのは、データベースなどを利用するアプリケーションを使用する場合、そのアプリケーションへのアクセス監視機能をどのように実装しているかという点にも注意しましょう。専用機能としてアクセス監視機能が充実していればよいのですが、そうでない場合もありますので、ある程度実用的であるように作りこまれている必要があります。
GUIとCUIの使い勝手
ほとんどの商用クラスタウェアはGUIで管理できます。筆者が紹介したオープンソースソフトウェアであるheartbeatは、基本的にCUIとしてコマンドラインからの操作のみでしたが、Webブラウザベースの管理機能が今後実装されていくようです。
商用クラスタウェアの場合、GUIで簡単に管理できるということのほかに、環境によってはコマンドラインの操作のみでどの程度管理できるのかということが重要になる場合もあります。例えばデータセンターなどでリモートからアクセスする際に、回線速度などの制約によりGUIが使用できず、SSH経由によるアクセスのみ可能な場合があります。
ストレージの構成
クラスタシステムを導入する場合、すでにあるハードウェアを有効活用して構成するというよりも、新規システムとしてハードウェアを含めた形で導入するケースが多いようです。
ハードウェアを含めてトータルでシステムを考えた場合、その費用は大きくなります。共有ディスクを使用する場合には、高価なFibreChannel(FC)接続によるストレージデバイスを使用することが多く、ほかにもRAID装置本体、FC スイッチやHBAなどの費用もかさみます。
更新系のシステムでは導入が難しいかもしれませんが、参照系のシステムであれば、共有ディスクを使用しない2台のシステムでデータディスクをミラーリングするシステムも候補に入ってきます。また、最近はiSCSIを採用したストレージも増えてきており、これであれば既存のNetworkのスイッチが使用でき、安価に構築できる場合もあるようです。
ハートビートとクォーラムディスク
突然ですが、皆さんはデートの時の待ちあわせでうまく出会えなかったことはありませんか。今でこそ携帯電話が普及し、何かあれば随時連絡を取ることができます。しかし、携帯が普及する前の時代には公衆電話からポケベルに連絡しました。もっと前は指定した場所で待ちあわせて、時間になっても来なかったら諦めるしかありませんでした。
2台のクラスタノードがお互いに連絡を取り合って、問題があれば他ノードにサービスをフェイルオーバーできるのも、密に通信をしあうハートビートがあってこそです。通常ハートビートは専用のネットワークを使用して通信しますが、万一このネットワークが使えない場合のために、他のネットワークを使用することもできます。まるで、個人用携帯と会社用携帯の2つを持っているかのようです。しかし、2つの携帯ともサービス停止してしまったらどうなるのでしょうか。
図3:ハートビートの仕組み
そんな時のために、クォーラムディスクと呼ばれる仕組みがあります。クォーラムディスクは現在のクラスタシステムの状態を共有ディスク上に保持しておき、何かあれば参照できる仕組みです。駅での待ちあわせに例えるなら、伝言板のようなものです。
備えあれば憂いなしといいますが、お互いのノードを認識しあう方法は多くの種類を使用できる方がより安全性が高いといえます。
プロビジョニング
プロビジョニングという言葉自体は非常に広い意味を持っていますが、大まかにいえば必要なものを必要な時に提供することです。
HAクラスタシステムの場合、単なるActive-Standby型の2台のシステムから、今後はより複数台のマシンにより複数のサービスを可用性を高めた状態で提供できるような仕組みが求めらると考えられます。特にSOA(Service-Oriented Architecture)が普及してくることで、ワークロードに応じた動的なサーバの割り当てを行う必要ができてます。
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著者プロフィール
バックボーン・ソフトウエア 青木 浩朗
ストレージ専業ベンダーにて、SEおよび企画を担当した後に、2001年にBakBoneSoftware入社。主に大手ベンダーのSEを担当しながら、テクニカル・マーケティングとして、各種講演や執筆活動を行っている。最近は、特にデータベースとクラスタリングに注力し、検証レポートを作成するのをライフワークとしている。
INDEX
第10回:クラスタソフトウェア導入に際しての注意点
クラスタソフトウェアの選定の注意
機能比較のポイント
最後に