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バックアップ・ソリューションの選択基準
バックアップ・ソリューションの選択基準

第3回:様々なバックアップとスケジューリング手法

著者:バックボーン・ソフトウエア  青木 浩朗   2005/2/28
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メディアローテーションの考え方

   いろいろなバックアップ方法があるなかで、それを出鱈目に実行したのでは、正しいメディア管理が行えません。使用するバックアップ・デバイスの種類やポリシーにより、正しいメディア・ローテーションを選択する必要があります。
Son方式

   シングル・ドライブ使用時にもっとも良く使用する方法であると考えられます。土曜日または日曜日にフルバックアップを行い、月曜日から金曜日までは差分バックアップを行います。次の週のフルバックアップの際にはテープへ上書きを行います。しかし、この場合、上書きによりフルバックアップしている最中に障害が発生すると、完全なデータがどこにもないということになり非常に危険です。仮にシングルドライブを使用するとしても、最低でも2本以上のテープを使い、週末のフルバックアップとは異なるメディアを使用する運用を心がけるべきでしょう。

Son方式バックアップ


Father-Son方式

   週末はフルバックアップを行い、平日は差分バックアップを実行します。平日の差分バックアップでは、曜日毎にメディアを決めて、月次の中では週末のフルバックアップの際に異なるメディアを使用します。比較的搭載巻数が少ない小規模なオートローダやライブラリにて使用される方法です。最低1世代のデータが保護され、週末に使用するテープの巻数を増やすことでより多くの世代の保護が可能になります。

Father-Son方式バックアップ


Grandfather-Father-Son(GFS)方式

   略称でGFS方式と呼ばれ、いわゆるバックアップの解説書等を見ると一番お勧めの方法として登場します。メディア・ローテーションにより、複数世代の保護はもちろんのこと、月次でのフルバックアップの実行により、テープコストを最小限にしながら、巻外保管による長期保存にも対応します。この運用をシングルドライブで行うことは、かなり難しいと思われます。やはり比較的大きな規模のライブラリを使用し、バックアップ・ソフトによる自動化運用が望まれます。

Grandfather-Father-Son方式バックアップ


ハノイの塔方式

   少ないメディア・コストで、フルバックアップ・データをできるだけ長期間保存するための方法です。この名称は「ハノイの塔」と呼ばれる数学的な問題にちなんでつけられていることからもわかる通り、低コストな分管理が複雑になっています。メディアの使用頻度に合わせて、交換頻度も決定されており、テープの損耗と長期保存のバランスが良い状態になっています。バックアップでの使用頻度は、スケジュールしておけばそれほど問題になりませんが、テープメディア自体の交換頻度を管理するのは難しいと思われます。

ハノイの塔方式


次回は

   次回は、OSSでのバックアップ手法(1)として、tarやcpioなどを使用したバックアップについて見ていきます。

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バックボーン・ソフトウエア
著者プロフィール
バックボーン・ソフトウエア株式会社  青木 浩朗
ストレージ専業ベンダーにて、SEおよび企画を担当した後に、2001年にBakBoneSoftware入社。主に大手ベンダーのSEを担当しながら、テクニカル・マーケティングとして、各種講演や執筆活動を行っている。最近は、特にデータベースとクラスタリングに注力し、検証レポートを作成するのをライフワークとしている。


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第3回:様々なバックアップとスケジューリング手法
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