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商用&OSSデータベースの現状と今後
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第3回:1台なら大丈夫。つないでいっても大丈夫? 〜 OSSのスケーラビリティの実際
著者:オフィスローグ 工藤 淳 2005/5/9
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ビジネスの激しい変化に対応するためにもスケーラビリティは不可欠
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通常の大規模データベースシステムでは、クラスタリングによって可用性を保つのが一般的である。クラスタ上に配置されたサーバの数を増やす「スケールアウト」によって、1台あたりのサーバの受け持つ負荷を軽くするのである。同時に、どれか1台のサーバに障害が発生した場合でも、フェイルオーバーによって残りのサーバが処理を引き継ぎ、システムの運用を維持できる。
しかし一方で、サーバの数が増えれば、それらすべてを適正かつ最大限のパフォーマンスで稼働させなくてはならない。管理者はロードバランシング(負荷分散)や、データベースバッファ領域の配分監視といった、あたかもオーケストラの指揮者のような役割を担うことになる。しかも本物のオーケストラと違って、どちらかというと団員たちは指揮者に非協力的である。ちょっとでもミスをすれば、平気で演奏会をパーにしてくれる危険性すらあるのだ。
それだけにエンタープライズ系データベースでは、可用性と背中合わせの形でスケーラビリティは重要視され、各主要データベース製品をリリースしているベンダーも、こぞって自社製品のアドバンテージの一つに挙げているのである。
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商用データベースは早くからスケーラビリティを重視していた
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商用データベースでは、各社製品ごとにそうしたスケーラビリティへの対応は早くから進められてきた。Microsoft SQL Server 2000 Enterprise Editionでは、2003年頃から急速に進んだ64bit化に対応して、最大64CPU、メモリ512GBまでのシステム拡張が行えるようになっている。
このためユーザのビジネスが急激に成長して処理件数やデータ量が飛躍的にふくらんでも、データベースシステムを入れ替える必要なく使い続けることが可能になる。こうした製品のスケーラビリティは、巨額のIT投資を保護するというメリットもユーザにもたらしてくれることになる。
またOracleも、すでにOracle 9iで実現した独自のクラスタシステムであるOracle RAC(Real Application Clusters)を提唱、シェアードディスク型クラスタの持つ高可用性に加えて、優れたスケーラビリティを強調した。
従来シェアードディスク型クラスタでは各ノードが保持するデータの整合性をとることが難しく、実装が困難とされてきた。Oracle 9iでは「Cache Fusion」という技術によってそれを解決し、本格的な拡張性を備えたクラスタシステムを可能にしたのである。このため現在では、RACはデータベースクラスタリングの代名詞ともいうべき存在になっている。
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図2:Oracle RAC 10g
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著者プロフィール
オフィスローグ 工藤 淳
IT技術系出版社勤務を経て、オフィスローグとして独立。データベース関連誌編集に携わっていた流れで、現在もデータベース系の執筆が比較的多い。元々は楽器から建築、自動車まで何でも注文があれば書いてきたのが、気がついたらIT専門のような顔をして仕事をしているのに自分で少し驚愕、赤面。
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