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商用&OSSデータベースの現状と今後
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第6回:「バックアップとは何か」から見た、商用 vs OSSデータベースの違いとは?
著者:オフィスローグ 工藤 淳 2005/8/5
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クリティカルなバックアップ要求に合わせて進化する商用データベース
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ツールだけではない。データベースソフトウェア自身も、そうした時代の要求に応えて、バックアップ関連機能ではめざましい進歩をとげている。リリースが待たれるSQL Server 2005を例に見てみよう。
SQL Server 2005では、ミラーリングによるバックアップ機能が新たに追加されている。これは今回の新バージョンの目玉機能の1つである「データベースミラーリング」の延長線上にある大きなメリットだ。
「データベースミラーリング」とは、これまでSQL Server 2000で採用されていたフェールオーバークラスタリングに加えて、SQL Serverの可用性をさらに高めるために導入された新しいテクノロジーである。その大きな特徴は、データベースを物理的に二重化して、2つのデータベースが常に同期をとる点にある。
これによってマイクロソフトクラスタシステム(MSCS)の弱点とされていた、障害時の切り替え(フェールオーバー)時間が大幅に短縮され、万が一の際にも非常に迅速な復旧が可能になる。
具体的には3台のサーバがあり、以下の役割が与えられている。
図2:データミラーリングの模式図
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- プリンシパル
- メインで稼働するデータベース
- ミラー
- プリンシパルと同期をとりながら稼働するバックアップ用データベース
- ウィットネス
- プリンシパルとミラーの稼働状況を監視して、障害発生時の切り替えなどを制御する
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表1:データミラーリングのサーバの役割
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少し複雑そうだが、クライアントからは透過的にデータベースサーバへ接続でき、複数のデータベースが稼働していることを意識させない。このためバックアップのための構成がユーザビリティに影響することはなく、見かけ上は今までのデータベースとなんら変わらない。
ミラーリングをバックアップに応用するメリットは大きい。SQL Server 2000までは、バックアップデータは1つしか存在しなかったため、バックアップを取っていたディスクなどのメディア自体が損傷を受けると、その時点でデータはどうしても不完全なものになってしまった。
それがSQL Server 2005ではバックアップメディアをミラー化できるため、バックアップデータを同時に複数取ることが可能になったのである。例えば4つのテープデバイスをセットアップして、メディアファミリごとにミラーを持つ2つのメディアファミリをバックアップできるという。
SQL Server 2005ではもう1つ新しい機能が加わっている。「オンライン復元」だ。SQL Server 2000までは、復元を実行するにはデータベースをいったんオフラインにする必要があった。しかしこれでは24時間365日時代のデータベースの稼働を保証することができない。そこで、データベースをオンラインにしたまま復元操作を行える機能が必須とされたのである。
「オンライン復元」の大きな特長は、復元中にアクセス不可となるのはその復元対象となるファイルのみで、他のファイルには通常通りアクセスできる点だ。また復元作業もこの障害の生じているファイルグループに限って行えばよい。この結果可用性の向上と復元時間の短縮が実現し、ダウンタイムが減少するわけだ。
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著者プロフィール
オフィスローグ 工藤 淳
IT技術系出版社勤務を経て、オフィスローグとして独立。データベース関連誌編集に携わっていた流れで、現在もデータベース系の執筆が比較的多い。元々は楽器から建築、自動車まで何でも注文があれば書いてきたのが、気がついたらIT専門のような顔をして仕事をしているのに自分で少し驚愕、赤面。
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