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「即活用!企業システムにおけるプロジェクト管理」

第1回:
プロジェクト管理力を強化するための具体的プラン

著者:システムインテグレータ  梅田 弘之   2004/11/16
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プロジェクト管理力の強化プラン

  最初に、自社のプロジェクト管理力を向上させるための具体的なプランを立てましょう。図1は、プロジェクト管理力の強化プランを
PDCAサイクル形式で立てたものです。以下、このプランを実行するために何をしなければならないかを一緒に考えてみましょう。

図1:プロジェクト管理力の強化プラン(PDCAサイクル)

【まめ知識】PDCAサイクルとは

日本の幅広く定着している管理技術は「管理サイクル」をまわすことです。管理サイクルとは、図1のように「計画(Plan)」「実行(Do)」「評価(Check)」「改善(Action)」の4つを一連のサイクルとするもので、一般にPDCAサイクルと呼ばれています。

PDCAサイクルは、1回だけでなく定常的にぐるぐると回っており、
"継続的改善(Continual Improvement)"ということが大きな特徴です。また、大きなサイクルの下で、小さなサイクルもまわっているのが普通です。絶え間ない改善の努力を通して全体のレベルを向上させてゆくというアプローチは、日本人の特性にマッチしていたため、日本国内で広く普及したモデルになっています。

ステップ1:問題点認識

  まず、現状のプロジェクト管理のやり方を評価し、どこに問題があるかを認識します。この作業は日本人のきっちりとした気質に合っているのか、日本の企業は問題分析フェーズに取り掛かるのに抵抗ないようです。むしろ、いつまでもこのステップから抜け出せない企業が多いことの方が気になります。計画の方向性を間違わないためにも重要な作業ではありますが、どのみちやるべきことは大きく違わないので、ある程度で切り上げて次のステップに進みましょう。

  問題点を認識するためには、"あるべき姿"が見えていないと始まりません。「目標」と「現実」のギャップが「課題」として具現化されるのです。採択する開発方法論や置かれている状況により、"あるべき姿"は当然異なりますが、システム開発というテーマであれば基本的な部分は一緒です。今回は、企業システムにおけるプロジェクト管理の"あるべき姿"をPMBOKの7つの知識エリア別に整理して表1のようなチェックリストにまとめてみました。PMBOKおよびチェックリストのポイントについては、第2回で詳しく説明します。

表1:プロジェクト管理状況チェックリスト
(画像をクリックするとEXCELファイルをダウンロードできます。/187KB)


ステップ2:改善計画

  次に現状の問題点を解決するために、何をやるべきかを整理して計画を立てます。このとき大切なのは、やるべきことをできるだけ具体的な作業にブレークダウンし、担当者と期限を明確にすることです。多くの場合、現行の仕事をやりながら時間をやり繰りして作業することになると思います。そうした状況でも、実際に作業が発生するのだからその分をきちんと予算化してもらいましょう。また、プロジェクト管理強化のためのプロジェクトを正式に組織してもらうことも重要です。


ステップ3:手法とツールの作成

  やるべきことが決まったら、それを実現するための手法とツール作りです。この工程が最も作業ボリュームが大きく手間がかかります。プロジェクト全体を通して管理すべき項目を整理し、どのタイミングでどのように管理・報告するかを定めます。それを実現するために、プロジェクト計画書やスケジュール表、プロジェクト体制図、プロジェクト完了報告書など、プロジェクト管理に使う標準テンプレートを作成します。これらを体系化したものを、自社のプロジェクト管理手法Ver1.0としてまとめるのです。


ステップ4:普及策決定

  手法とツールを作成しただけでは、まだ道半ばです。肝心なのは、これをきちんと使ってもらうことなのです。今まで"オレ流"のやり方をやってきた人たちに、新しい手法やツールを使わせるのはたやすいことではありません。そこで、手法とツールを社内で使用してもらうためのルールを作り、強制力を持って普及させる仕組みが必要となります。


ステップ5:リーダー育成

  プロジェクトが成功するかどうかは、プロジェクトリーダーの経験や資質によるものが大きいと言えます。ちょっと難しいプロジェクトでもAさんがリーダーなら大丈夫だと思われますし、逆にBさんがリーダーと聞くとみんなが不安にかられてしまうのも事実です。しかし、Aさんが全てのプロジェクトを管理できるわけもありません。自社のプロジェクト管理力を強化するとは、いかに優秀なリーダーをたくさん育成できるかということでもあります。そのための手法やツールであり、そのためのリーダー教育なのです。「うちの会社はプロジェクトリーダーがいなくてさ」などと嘆いているだけでは始まりません。もちろん資質もありますが、手法やツールを整備してしかるべきリーダー教育をすれば、きちんと管理できるように育つのです。


ステップ6:実行

  プロジェクト管理のための手法や管理ツールを作成し、リーダーやメンバーに対する教育も行ったら、後は実行あるのみです。ステップ4で計画したとおりのスケジュールで地道に根気良く実施してください。ここでのポイントは、「毅然として」「粘り強く」ということです。各プロジェクトが定めたルールどおりにプロジェクト管理を行えるようにフォローおよび監視することになります。現場から不平不満があがったり、泣き落としが入ったりもするでしょうが、メジャーリーグの審判のように毅然とした態度で接するようにしましょう。正義はこちらの手にあるのですから、安易な妥協は禁物です。それが相手のためと信じ、自身を持って定着に向けて説得し続けてください。


ステップ7:評価・レビュー

  間違いなくプロジェクト管理力は企業力となります。ソフトウェア業界で企業を評価するとき、Javaエンジニアがたくさんいるとか、オラクルマスターの資格者が多いとか、とかく見えるものに目を奪われがちです。しかし、真の強さとはプロジェクト管理力というような総合的なものであり、土壌の強さというものなのです。

  では、プロジェクト管理力が強いとはいったいどういうことなのでしょうか。まず、今回のテーマである即活用テンプレートや管理手法を装備するということが強化策のスタートとなります。そしてPDCAサイクルをまわす中で、これらのテンプレートや管理手法もブラシュアップされて強力な武器となって行きます。しかし、本当の強さは、管理サイクルをスパイラル状に絶えずまわすことにより現場部門の意識が高まり、プロジェクト管理のノウハウ・経験が積み重なって行くという過程によって得られます。

  そういう意味でも、実施状況を評価し、現場の声をレビューすることは大切です。テンプレートの使いにくいところを改良し、手法のそぐわないところを改善する努力を怠ってはなりません。ちょっとでもツールや手法が古びたものになったとたん、現場はそれを使ってくれなくなるのです。


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著者プロフィール
株式会社システムインテグレータ  梅田 弘之
東芝、住商情報システムを経て1995年にシステムインテグレータ社を設立。 常駐・派遣主体の労働集約的な日本のソフトウェア業の中で、創造性にこだわってパッケージビジネスを行っている。 国際競争力のない日本のIT産業が、ここから巻き返しを図るための切り札は「プロジェクト管理」だと信じ、実践的なプロジェクト管理手法「PYRAMID」を自社開発している。


INDEX
第1回:プロジェクト管理力を強化するための具体的プラン
  プロジェクト管理を国際競争力の切り札に
プロジェクト管理力の強化プラン
  具体的なツールを提供します