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Visual Studio 2005を活用した、テスト駆動開発とソフトウェア品質向上アプローチ |
第4回:チーム開発における品質向上策とVisual Studio 2005
著者:日本ユニシス 大木 邦友 2005/12/20
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チーム開発における情報共有
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チームで開発を行うときには、開発者と関係者の間で情報共有が必要になります。情報の共有がうまくできていないと、作業の進捗が把握できなかったり、開発したモジュール間での不整合が開発の終盤になって発覚したりします。また、情報共有の手段として、メールやWebサイト、電話、紙に印刷して張り出すといった様々な方法を利用していると思います。
いずれにせよ、情報を共有する際に大切なことは、共有する情報を最新かつ正確に保つということです。しかしこのことは、開発にかかわるメンバーの負担となり、生産性や更新頻度が低下するといった問題を生みます。こういった作業を効率的に行うことができれば、開発者はソフトウェア開発に注力し、品質の良いソフトウェアを開発できると考えます。
VS2005 Team Foundation Serverでは、様々な情報を蓄積することができます。開発者はVS2005に統合されたTeam Explorerを通じて、バグやその収束状況、作業の進捗状況や担当者、ビルドの状況などを見ることができます。図6は、バグの発生と収束情報を表示したものです。標準では、図6の右側にあるTeam Explorer内の「Reports」フォルダ内にあるようなレポートを表示することができます。
図6:バグの状況 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
またProject Alert機能を利用することで、特定の状態になったときにメールを送信してくれる機能も提供してくれます(図7)。
図7:Project Alertの設定画面 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
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ほかのツールでの情報の活用
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各種のレポートの内容は、開発者はもちろんですがプロジェクト管理者や上級管理者も閲覧したいものです。VS2005を持たないプロジェクト管理者や上級管理者は、VS2005 Team Foundation Serverが作成するProject Portal(注4)を利用できます。
※注4:
Project Portal は Windows SharePoint Servicesによって提供されます。
図8:Project Portal (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
VS2005 Team Foundation Serverで管理されるWork Itemは、VS2005 Team Foundation Server内に、その情報が蓄積されるだけではありません。Work Itemの一覧をMicrosoft ProjectやExcelへエクスポートして利用することができます。これらのソフトウェアのほうが慣れている管理者にとっては、この方が扱いやすいでしょう。
また、Team Explorerに「Reports」としてある情報は、SQL Server 2005のReporting Servicesを利用しているので、Webブラウザで閲覧できます(図9)。そのほか、Excelへエクスポートしたり、PDFで出力したりすることで、お客様とのプロジェクトレビューなどでも活用できます。
図9:Reporting Servicesを利用したBuildsの表示 (画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
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チーム開発における情報共有のまとめ
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ここまで、チーム開発における情報共有とVS2005 Team Foundation Serverが提供する機能について説明してきました。
VS2005 Team Foundation Serverを利用すると、開発時に必要となる情報の蓄積と参照がシームレスに行えます。この結果、開発者はより生産的な作業やソフトウェアの品質を高めるための作業に集中できるようになります。
VS2005を持っていなくても、Webブラウザでこれらの情報を参照することができるため、プロジェクトにかかわる全員がプロジェクトの状態を正確にそしてほぼリアルタイムに把握することが可能になります。
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おわりに
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本連載では、テスト駆動開発とソフトウェアの品質向上について説明してきました。
今回はソフトウェアの品質向上策として、チーム開発における開発プロセスの品質向上、プロジェクトにおける管理と情報共有についての必要性について解説してきました。またテスト駆動開発によって作りだされたテストコードなどの資産とリズムを、継続的に再利用できることや、こういったプロセスを支援するVS2005 Team Foundation Serverの機能についても解説してきました。
新たな開発方法論やツールを導入することが、すぐさまソフトウェアの品質向上につながるわけではありません。しかし、これまで解説してきた開発方法論やツールを有効に使うことで、作業効率や生産性が上がり、開発者がソフトウェアの品質面に注力できるようになるでしょう。
このことが、開発プロセスの品質を向上させることにもなり、高品質のソフトウェア開発につながると確信しています。
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著者プロフィール
日本ユニシス株式会社 大木 邦友
.NETテクノロジコンサルティング所属
マイクロソフト製品および.NET Frameworkを利用したシステム構築案件の提案支援や、要件定義やアーキテクチャ策定の支援など主な業務とする。
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