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| EVM導入の注意点 | ||||||||||||
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ここまでは、主にEVMの技術的な側面からの解説を行ってきた。しかしEVMはマネジメントのための技術である。この連載も最終回となるので、実際に導入することを考えてみよう。もちろん標準WBSが適切に運用されていることが前提となるのだが、それでもいきなり実施して効果を発揮するだろうか。 経験上、残念ながらこれはそううまくはいかない。当初の見積りとしてPV(予定)を作成することや、計上方法についても決まった答えがあるわけではなく、各社それぞれの特性に応じたカスタマイズが必要だからである。ゆえに導入前に準備(各種取り決めごとなど)が必要となる。そこで準備のための方法として、以下の2通りのケースを考えてみる。
表4:EVM導入前の準備として考えられるケース まず、1番のケースを考えてみよう。EVM導入前のデータであるため、EV(出来高)とAC(コスト実績)の計上方法が決まっていない場合や、EVだけ管理をしていてACを計上していないことが想定される。 仮にアラームがあがったと思わるポイントを算出できたとしても、当時の状況を思い出すのは困難で、フィードバックしようとしても(計上方法の参考にしようとしても)労力の割にはリターンが少ない。しかし、出来高と実績コストの関係(よくて月単位と想定されるが)から、実際の生産性を算出することは可能である。生産性は会社ごとに異なる部分であり、重要かつ有益な情報を得られることになる。 では、2番のケースを考えてみよう。1番のケースに比べ、週単位の詳細なデータを取得・分析可能である。実際にアラームがあがった場合のアクションと効果が実績として残るし、管理工数に要するコストも実績から算出できる。ただし当初は、管理工数がどの程度必要かわからない。はじめは小規模のプロジェクトを選択するか、一部の工程のみに適用することを考えてもいいだろう。 そこでの生きたデータは、導入する/しないの判断も含めて、きっと有効なフィードバックとなるに違いない。すでにEVM導入が必要だと判断された会社では、まずEVMのデータ蓄積を主目的として(「EVMで効果を発揮することを主目的とするのではなく」という意味)、あるプロジェクトをモデルケースとして導入テストをしてみるのも1つの方法である。 このようにしてシミュレーションや試験導入によって集めた情報に基づき、会社ごとのベースライン作成基準や計上基準を準備してから、本格的な導入にチャレンジして欲しい。 さて実際に世間のEVM導入状況はどうであろうか。大手ベンダーは、もともと実績値の蓄積が進んでいるし、EVMの試験導入もすでに実施している。適用するプロジェクトを規模によって決めているところもあれば、必ずEVMを使うことが前提となっているところさえある。ゆるやかではあるが、EVMが普及しつつあるのは間違いないようだ。 |
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