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ビジネス・プロセス・マネージメントの現状 〜 「経営と情報の架け橋」の実現にむけて
第2回:目指すべきプロセス指向型企業
著者:
IDSシェアー・ジャパン 渡邉 一弘
2005/6/24
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Topダウンアプローチ
業務プロセスを整理するためには、ARIS Houseに加えて非常に重要な概念があります。それが、Topダウンアプローチです。
業務プロセスには、図4に示すように、顧客に対して付加価値を直接与える「コア・プロセス」、その支援を行う「サポート・プロセス」、管理するための「マネージメント・プロセス」に分類されますが、それぞれ業務範囲に応じた大きさ(業務の粒度と呼んでいます)があります。
図4:プロセスに対するTopダウンアプローチ
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
これは住所を現すことによく似ています。例えば全く知らない国のある都市にいくために、いきなり番地やアパート名から伝えることはないと思います。IDSシェアー・ジャパンの所在地を説明するには、「日本」という国の「東京都」という都道府県の「千代田区」の「大手町」と説明します。
かつて私は、SEの時代に、エクセルの各シートにお客様の細かな情報のやり取りに関する業務プロセスを表記していったことがあります。
しかし、表記が終わった瞬間に、エクセルの各シートで記述した業務粒度がまったくあってなく、そのためシート間の前後関係が分からなくなったことがありました。結局また、シート毎に業務の粒度を整えながら、シート間の繋がりを再度整理するという作業を何度も繰り返したという辛い経験があります。皆様においては、いかがでしょうか?
やはり、企業の大きな粒度での業務プロセスから捉えることが重要です。これは、マイケル・E・ポーター(Michael E. Porter)教授の著書の中で提唱している競争戦略理論にも記述されているように、先ず第一に付加価値連鎖を生みだす企業活動を大きく捉えることが重要であるということと同じです。
※注:
「Competitive Advantage: Creating and Sustaining Superior Performance」/マイケル・E・ポーター/1985年より
この企業の付加価値連鎖モデルを記述する際に「そんなことは、分かりきっている」という声をよく聞きます。しかし、私は、この分かりきった付加価値連鎖を漏れなく、企業の誰がみても共通認識として理解できるレベルで表現することが、もっとも困難であり、もっとも時間をかけて試行錯誤する必要があるべきだと思います。
フレームワークとプロダクトの両輪の必要性
さて、紹介したY-CIMモデル、ARIS House、Topダウンアプローチという概念を基本に、BPMサイクルを効率的且つ継続的に実施するためには、「各フェーズでやるべきことのフレームワーク」(図5:前輪)と「各フェーズでの作業を効率的に行うためのプロダクト・ツール」(図5:後輪)が必要です。
図5:BPMサイクルのためのフレームワークとプロダクト
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
「プロダクト」のみ、もしくは「フレームワーク」のみという一輪車では、目的に向かってスピードを上げて進むことは困難です。つまり、自転車に乗っている企業自身が、「フレームワーク」と「プロダクト」の両輪を使って、スピードを上げてBPMサイクルを継続的に実施することが重要です。
BPMに限らず、ソフトウェアは人間の思考を実現するための機能の集合体であり、何かしらのコンセプト・方法論に従っていることは、いうまでもないと思います。
しかし、最近のIT市場では、そのソフトウェアのツールとしての機能ばかりが紹介され、それぞれのソフトウェアが持っているコンセプト・方法論に関して紹介されることが少ないと感じます。
現在の日本市場では、ARISも他のソフトウェアと同様に、「BPMツール」としてのみ捉えられることが多いです。しかし、ARISを活用している多くのユーザからは、ARISという整理するための方法論に対する評価の声を多く頂いています。
ソフトウェアを評価する際には、機能だけではなく、そこに潜む方法論・コンセプトを評価することが大事であると考えます。
なお、各フェーズでの「フレームワーク」、「プロダクト・ツール」については、次回以降で紹介します。
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著者プロフィール
IDSシェアー・ジャパン株式会社 渡邉 一弘
工場でのHDD製品設計を経験後、SEとしてシステム構築を担当。日々、現場の業務とシステム機能の「ギャップ解消」に悩み、業績に直結するシステムやROIを求める経営者に対し、解決策として見出したのが「プロセス管理」というキーワード。現在は、IDSシェアー・ジャパンにてプロセス管理ツール「ARIS」のプロセスコンサルタントとして従事。
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第2回:目指すべきプロセス指向型企業
今回は
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