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徹底比較!! Solaris/Linux/BSD
徹底比較!! Solaris/Linux/BSD

第3回:その他の機能を比較してみる
著者:シンクイット  紙屋 伸成   2005/6/14
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その他

   最後にさまざまな点で、3種のOSを比較してみましょう。
GUI環境

   UNIX系のOSでGUIを使うとなると「X Window System」を利用することになります。2種類のX Window Systemがあり、Solarisで昔から使われているOpenWindowベースのもの、LinuxやBSDで使われているX.orgです。Solarisでは両方利用することができます。

   GUIを利用したいと思った場合、一番困難なのがX Window Systemの導入です。対応しているビデオカードであっても、インストール時には検出できず、インストール後に手動で設定しなければならない場合もあります。おそらく多くのWindowsユーザー、Macユーザーが、X Window Systemの導入でつまづき、LinuxやBSDの使用をあきらめたのではないかと推測しています。

   GUI環境の導入で一番なのは、やはりLinuxです。いくつかのPCにSolaris、Linux、BSDをインストールしましたが、どのPCでもLinux(Fedora Core 3)はちゃんとGUI環境が問題なく構築できました。それに次ぐのがSolarisです。SolarisもいくつかのPCを除いてGUI環境を構築できました(図7)。

SolarisのGUI環境
図7:SolarisのGUI環境


   SolarisでGUIを使えなかったのはノートパソコンが多いようです。また、FreeBSDでは手動で設定を行なわないとGUIは利用できません。この点は他のUNIX系のOSに負けているところですが、そういうポリシーである(つまり余計なものはなるべく入れない)ということもあるのでしょう。


セキュリティ

   個人情報保護法が施行されたことに伴い、OSのセキュリティ機能についてもいろいろと話題が出てきています。たとえば「セキュアOS」です。

   SolarisのセキュアOSとして、「Trusted Solaris」があります。Solaris 10ではこのTrusted Solarisのセキュリティ機能を基に、さまざまなセキュリティ対策が行なわれています。

   LinuxでもさまざまなセキュアOSが存在しますが、カーネルに標準で組み込まれているSELinuxが有名です。残念ながらBSD用のセキュアOSというのは筆者は聞いたことがありません。

   セキュアOSはサーバーとしてのセキュリティを前提としています。たとえばrootという特権ユーザーを排除し、権限を分割する「最小特権」などがわかりやすいでしょう。

   では、OSとしてのセキュリティ体制はどうなのでしょうか。Solaris、Linux、BSDそれぞれで、セキュリティの問題が発見された場合は速やかにパッチが提供されています。その点では3者とも同じでしょう。

   Solarisでは「SunSolve」(http://jp.sunsolve.sun.com/、図8)でパッチの提供を行なっています。ただし、前述のとおりSolaris 10ではsmpatchコマンドで最新のパッチを適用できるため、SunSolveの役割も変わってくるかもしれません。

SunSolve
図8:SunSolve


   Linuxの場合、yumやAPTで簡単にシステムをアップデートできます。セキュリティの問題が発生した場合、これらのツールでアップデートを行なえば問題ないでしょう。

   BSDの場合は少々面倒です。手動でパッチをあてるか、CVSからソースを取得してリビルドということが必要になります。ただしBSDは昔からセキュリティを重視した設計となっているため、OS自体のセキュリティは他のOSに比べ高いといえるでしょう。


シェル

   コマンドラインを利用する場合、そのインターフェイスであるシェルは重要でしょう。もちろん各人の好みに合ったシェルを使えばよいのですが、OSによってはデフォルトでインストールされているシェルが異なります。また、rootのシェルを変更するのもちょっと怖いでしょう。表10に、各OSのシェルを紹介します。

OS デフォルト 使用可能
Solaris sh sh、csh、bash、tcsh、zsh
Linux bash sh、csh、bash、tcsh、ksh
BSD sh、csh sh、csh、tcsh

表10:各OSのシェル



最後に

   さて、Solaris、Linux、BSDのそれぞれの特徴を比較してきました。この記事がオープンソースのUNIX系OSを選択する材料のひとつとなれば幸いです。もちろん、企業システムなどでは検討に検討を重ね、それぞれでパフォーマンスなどを測定して選ぶ必要もあるでしょうが、それだけではなく、その背景や文化、そしてコミュニティの力なども鑑みて選ぶのも大事なのではないかと思います。

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著者プロフィール
株式会社シンクイット  紙屋 伸成
大学のときに研究室でUNIXシステムと出会い、以後そこから抜け出せずにいる。IT系出版社、通信会社と渡り歩き、シンクイットに所属。企業システムにおけるオープンソースの位置づけを日々考えている。


INDEX
第3回:その他の機能を比較してみる
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