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今すぐできるPostgreSQLチューニング
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第2回:何はともあれトランザクションログバッファ
著者:日本PostgreSQLユーザ会  片岡 裕生   2005/7/27
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トランザクションログバッファの大きさ

   トランザクションログバッファの大きさはデフォルトでは8ページです。前回説明したように1ページは8Kバイトですから、デフォルトのトランザクションログバッファの大きさは64Kバイトということになります。

   これが大きいのか小さいのか、いまいちハッキリしないところではありますが、今日のサーバマシンのスペックからすると、64Kバイトというメモリサイズは非常に微々たる大きさであることには間違いなく、単純にもう少し大きくしても弊害はなさそうです。

   何よりトランザクションログバッファの大きさが十分でないと、コミット以外のタイミングで頻繁にトランザクションログのハードディスクへの書き出しが行われてパフォーマンスが低下してしまいますから、もっと大きくして損はないでしょう。

   もう少し深く考えたい方のために付け加えておきますと、トランザクションログの大きさは更新されたデータの大きさとほぼ同程度と考えて構いません(もちろん本当はそんなに単純ではないのであくまでも目安です)。そう考えると、多数のクライアントが同時に多くのデータの更新を行うような環境では、デフォルトの64Kバイト程度のトランザクションログバッファでは頻繁に溢れることが予想できると思います。


トランザクションログバッファの調整

   トランザクションログバッファの大きさは、頻繁に溢れることがない程度に大きくすべきです。何も考えずに16ページとか32ページとかに増やしても十分良い結果がでると思います。仮に32ページとしても必要なメモリサイズは256Kバイトでしかありませんから、サーバマシンの搭載メモリ量を気にする必要もないでしょう。もちろん更新の非常に多い環境であれば、100ページ以上の大きな値にすることも考えられます。

   さっそくテスト用サーバマシンでチューニングしてみましょう。といっても今回は何も考えずに32ページに増やすことにします。なおテスト用サーバマシンの仕様などは前回の記事を参照してください。

   PostgreSQLの設定を変更するには、エディタなどで設定ファイルを編集します。PostgreSQLをソースからインストールしたのであれば、設定ファイルは/usr/local/pgsql/data/postgresql.confです。ディレクトリ構成を変更している場合や、RPM等でインストールされた場合には、設定ファイルの場所が異なる場合がありますので、ご利用の環境に合わせて読み替えてください。

   設定ファイル(postgresql.conf)をviなどのテキストエディタで開きます。トランザクションログバッファサイズの指定を行っているのは"wal_buffers"という設定項目です。

   設定ファイル中で"wal_buffers"の指定をしている箇所を探してみると、行頭に"#"記号が記入された行が見つかると思います。この行自体は"#"記号により無効化(コメントアウト)されていますので設定にはまったく影響していないのですが、設定を変更する場合のテンプレートとして利用できます。

   では、行頭の"#"記号を削除した上で、8ページという指定を32ページに変更します。

wal_buffers = 32         # min 4, 8KB each

   設定ファイルを保存した後、PostgreSQLサーバを再起動すれば準備OKです。

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日本PostgreSQLユーザ会 片岡 裕生
著者プロフィール
日本PostgreSQLユーザ会  片岡 裕生
1995年よりインターウィズという屋号で個人事業を営む。普段はPostgreSQLを用いたウェブアプリケーション開発などを行う。各コンピュータ情報誌にてPostgreSQL関連記事や連載を執筆。日本PostgreSQLユーザ会の創立メンバーの1人で、同会の技術担当理事、PostgreSQLのしくみ分科会座長を経て、2004年度からは理事長を勤める。


INDEX
第2回:何はともあれトランザクションログバッファ
  今回のチューニング
  信頼性を保障するトランザクションログ
トランザクションログバッファの大きさ
  チューニングの結果