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サーバ仮想化
サーバ仮想化技術とその実践的評価ポイント

第3回:仮想化技術とワークロード管理の評価ポイント
著者:野村総合研究所  松本 健   2005/8/30
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対応するゲストOSの種類

   仮想サーバ上で稼動するOSをゲストOSと呼ぶ。対応するゲストOSの種類は、製品によって異なる。パーティション技術を採用している製品では、ホストOSとゲストOSが同じOSである場合が多い。

   仮想サーバがx86系マシンをエミュレートする仮想マシン(Virtual Machine)である場合には、ゲストOSはx86で稼動するOS(Windows、Linux、FreeBSD、NetWare、DOSなど)に対応しているものがほとんどである。

   WindowsやLinuxなどの複数のOSをもつ仮想サーバを同一の物理サーバ内に実現したい場合には、後者のような仮想マシン系の製品の利用が適している。


仮想サーバ間の独立性

   同一の物理サーバ内に存在する仮想サーバ同士は、独立したサーバとして動作することを前提としている。データセンターなどのように、複数の異なったシステムが同一の物理サーバ内に仮想サーバとして存在することも当然考えられる。

   そのような場合にあるシステムの仮想サーバが、故意にあるいは偶然にでも他の仮想サーバのファイルを容易に破壊できることは許されない。したがって、仮想サーバ同士のリソースは、物理サーバ同士と同様、ネットワークを通したアクセス以外には不可能であることが望ましい。


仮想サーバの制御方法

   仮想サーバの設定状況の監視やリソース稼動状況、および設定変更やリブートなどの運用時を考慮した、外部から操作可能なAPI(Application Program Interface)が用意されているかどうかもポイントとしてあげられる。動的ワークロード管理を行うときに専用の管理ツールを使用して行うだけでなく、他のシステムで使用している既存の運用管理ツールと連携し、統一した管理を行うことで管理の手間を軽減することも重要である。


性能

   仮想化をすることにより、物理的なリソースから仮想的なリソースへ変換する時に2つのオーバヘッドがかかることになる。

   1つは仮想サーバを制御するソフトウェアのオーバヘッドがある。ホストOSの項目でも解説したが、このソフトウェアがホストOSを必要とするものとそうでないものがあり、ホストOSを必要としないもののほうがオーバヘッドは少ない。サーバ仮想化製品の実機評価を行った結果、サーバ仮想化におけるオーバヘッドはホストOSを必要としないある製品では10%以下に抑えられていることがわかっている。

仮想サーバのオーバヘッド

図2:仮想サーバのオーバヘッド
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   次に、仮想化されているリソースを動的に再配分したときのオーバヘッドがある。CPU、NIC、HDDのように時分割でアクセスを行っているデバイスなどではオーバヘッドは発生しないが、メモリのように時分割アクセスを行っていないものはオーバヘッドが大きい場合がある。

   また、COMポートやLPTポート、CDやテープドライブなどの仮想化されていない複数のデバイスに、仮想サーバが同時にアクセスすると、大幅な性能劣化を引き起こすことやデバイスがフリーズする可能性もあるため、同時アクセスを抑制する運用を考える必要がある。


信頼性対策

   単一筐体型サーバ仮想化では、仮想サーバを制御するソフトやホストOSがフリーズした場合、その上で動作している仮想サーバもフリーズ、もしくは制御不能になってしまう。万が一の場合を考慮し、仮想サーバに対応するクラスタリングソフトの有無なども重要である。


課金単位

   サーバ仮想化製品のライセンス体系として、稼動する物理マシンのCPU数に依存するもの、同時に構築可能な仮想サーバ数に依存するもの、上記を混合したものなど製品によって差異がある。最初に構築する仮想サーバ数や、使用していくうちに仮想サーバ数を増減する場合などの運用の仕方によっても費用が大きく変わることがあるので、注意が必要である。

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野村総合研究所株式会社 松本 健
著者プロフィール
野村総合研究所株式会社  松本 健
1994年早稲田大学大学院理工学研究科卒業後、同年野村総合研究所入社。現在、情報技術本部にてシステム基盤を中心とした新技術の調査・評価を行うITエンジニアとして活動。最近ではESB/BPM/ユーティリティコンピューティング/サーバベーストコンピューティング/RFIDミドルウェアなどの調査・評価を行っている。


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第3回:仮想化技術とワークロード管理の評価ポイント
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