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LifeKeeperのすべて
第8回:MySQL/OracleとLifeKeeperによるHAクラスタ化
著者:
サイオステクノロジー クラスタソリューショングループ
監修者:
サイオステクノロジー 小野寺 章
2005/1/13
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MySQL ARKによるHAクラスタ化
それではMySQLをLifeKeeperでHAクラスタ化する際の構築手順を紹介する。
LifeKeeper Coreの機能であるIPリソースの作成などの場合と比較してGUIからの操作感に特別な違いはない。しかし事前にプライマリサーバとなるノード上で、LifeKeeperの制御上必須となる項目を設定したMySQLを起動しておく必要がある。以下は起動コマンドの入力イメージである。
# mysqld_safe --user=mysql --socket=<ソケットファイルのパス> --port 3306 --datadir=/mnt/mysqldata/mysql --log &
続いてGUI画面から操作を行い、MySQLをLifeKeeperのリソースとして組み込んでいく。
まずGUI画面メニューバーから、「Edit → Resource → Create Resource Hierarchy 」を選択する。次にGUIの各画面から表5の項目を入力する。
画面名
選択・入力内容
SelectRecoveryKIT
MySQLDataBase(注1)
SwitchbackType
Intelligent(注2)
Server
DBのプライマリサーバ(注3)
Location of my.cnf
/etc/my.cnf (注4)
Location of MySQL executable
/usr/local/bin (注5)
Database Tag
Mysql-thinkIT(注6)
表5:MySQL ARKの設定項目
※注1:
MySQLが選択肢に表示されない場合、MySQL ARKのパッケージがインストールされていないか、MySQL ARK用のライセンスが正しく組み込まれていない可能性がある。
※注2:
SwitchBackTypeの設定項目の詳細については
「第3回:LifeKeeper for Linuxの操作」
の記事を参照していただきたい。今回はデフォルト値である「Intelligent」を使用する。
※注3:
プライマリサーバ/バックアップサーバの設定は後から変更することは可能だが、HAクラスタへ組み込む段階ではここで入力したサーバが自動的にプライマリサーバとなるため、作成時にプライマリサーバを選択しておくとよい。
※注4:
起動に必要なmy.cnfファイルのパスを入力する。必須のパラメータに漏れがあった場合はこの時点でGUI上にエラーが表示される。
※注5:
MySQLのバイナリの配置されたパスを入力する。
※注6:
管理上使用したい任意の名前を入力する。今回は「Mysql-thinkIT」とした。
以上の入力が終了し「Create」ボタンをクリックするとリソースの作成が開始される。正常に作成されたら、「Next」ボタンをクリックする。
ここまでの手順が成功すると、ウィザード画面は図2のように、「Continue」ボタンがアクティブになる。
図2:リソース作成成功時のWizard画面
作成したリソースの拡張
図2の「Continue」ボタンをクリックすることで、リソース情報を他のサーバと共有する手順に入る。この手順をLifeKeeperでは「リソース階層の作成と拡張」と呼ぶ。この操作もウィザード形式で行われ、新たに入力を要する項目はないので、拡張手順の詳細は割愛する。
Active-Standbyの両方で、事前の設定に問題がなければGUI画面に従って設定していくだけでリソースの組み込みは終了となる。リソースの拡張の概要については本連載の
「第3回:LifeKeeper for Linuxの操作」
でIPリソースの作成時に紹介しているので参照して欲しい。
最後にGUI上からクライアントがDBにアクセスするためのVIP(仮想IP)リソースとMySQLリソースの間の依存関係を定義する。今回は図3のような依存関係を定義する。
図3:作成されたリソース階層図
これで、HAクラスタへの組み込み作業は終了となる。通常の構築時には、作成されたHAクラスタ構成の動作確認を行うところだが、動作確認については本記事の終盤で紹介するものとし、先にOracleのHAクラスタ化について簡単に触れておく。
Oracle ARKによる構成
Oracle Database 10g(以下、Oracle)を使用して最もシンプルなActive/Standby構成を例に構築の概要を説明する(図4)。
今回はOracleのバイナリとORACLE_HOMEをローカルディスク上に置き、/mnt/oradata以下にDBが作成している。Oracle ARKでは、Oracleバイナリを共有ストレージにインストールした構成も可能となっている。Oracle ARK上で可能な構成例についてはSteelEye社のドキュメントを参照していただきたい。
図4:Oracle ARKによるActive-Standby構成例
OS
Red Hat Enterprise Linux AS4.0
Oracle
Oracle 10g Release 2
LifeKeeperのバージョン
v.5.1.1
Oracle ARKのバージョン
SteelEye-lkORA-5.1.0-2
ORACLE_HOME
/opt/oracle/product/10.2.0
表6:Oracle ARKによるActive-Standby構成例の内容
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著者プロフィール
サイオステクノロジー株式会社 クラスタソリューショングループ
サイオステクノロジーにおいて、SteelEye LifeKeeperの技術サポートや構築支援を行うエンジニア集団。日本国内で、彼ら以上にLifeKeeperを知る者たちはいないと自負している。世の中のすべてのHAクラスタがLifeKeeperになることを夢見て日々奮闘を続けている。
監修者プロフィール
サイオステクノロジー株式会社 小野寺 章
インフラストラクチャービジネスユニット
エンタープライズソリューション部 部長
国産汎用機メーカに入社し、汎用機のSEを10数年担当、1994年頃からオープン・ダウンサイジングブームの到来とともにUNIX系OSを担当し、Solaris、HP/UXでSun Cluster、Veritas Cluster、MC/ServiceGuardなどを使用した、多数のミッションクリティカルシステムのHAシステム構築に従事。2001年ノーザンライツコンピュータ(現サイオステクノロジー)へ入社後、SteelEye LifeKeeperの総責任者としての国内での販売・サポート業務に従事。
INDEX
第8回:MySQL/OracleとLifeKeeperによるHAクラスタ化
LifeKeeperによるデータベースのHAクラスタ化の概要
MySQL ARKによるHAクラスタ化
Oracle導入に関する留意事項
フェイルオーバーの動作確認