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Ajaxが開く未来

第3回:Web 2.0とAjaxの関係
著者:HOWS  清野 克行   2006/5/12
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従来とは異なるシステムの考え

   Web 2.0には、時間をかけて徐々に形成されてきた部分と、いわゆるWeb1.0の延長ではない従来とは質的に根本から異なる部分の両方が混在する。

   後者の質的な変化の部分は後で説明する。前者の徐々に形成された部分に関しては、例えばGoogleやYahoo!、Amazon、eBayなどがある。これらのシステムではユーザによる作業で膨大な情報を獲得し、その情報を使ってサービスをさらに便利なものにしてきた。またオンライン百科事典のWikipediaでは、利用者は登録をしなくても自由に項目を増やしたり変更したりすることができる。

   これらのサービスを提供する側は、ユーザの貢献を意識しないのが特徴である。つまりユーザ自身が、自分のWebサイトや商品を広めたいために、GoolgleやYahoo!、eBayに登録しているにすぎない。AmazonやWikipediaは貢献の意識が多少はあるだろうが、その多くは意見・知識などの自己発現がきっかけだろう。

   このような形でのシステム構築は従来のパターンとはまったく異なるものであり、Web 2.0におけるユーザ参加型や集合知といわれる内容がこれに相当する。


ビューの価値

   上記で説明したことがMVCモデルのM(モデル)の部分にあたり、Web 2.0を特徴付ける部分ともいえる。このMにくらべれば、データの見せ方にすぎないともいえるV(ビュー)をAjaxはそれ程重要ではないと思えるかもしれないが、そうではない。蓄積された情報が膨大で価値があればあるほど、ビューも重要になってくる。

   Ajax開発環境を無償提供している米TIBCO社のプロダクト・マーケティング・ディレクターはAjaxをSOAの顔(Face of SOA)ととらえている。また、「SOAだけでは経営層やエンドユーザに何が実現されたのかアピールすることができないが、Ajaxによるリアルタイムな情報更新や洗練されたユーザービリティを組み合わせることで、SOAの魅力を効果的に表現してくれる」ともいっている。

   このことはSOAだけでなく、Web 2.0におけるMVCモデルでのM(モデル)とV(ビュー)の関係にもそのまま当てはまることだろう。

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HOWS  清野 克行
著者プロフィール
株式会社HOWS  清野 克行
慶應義塾大学工学部電気科卒。日本アイ・ビー・エム株式会社、日本ヒューレットパッカード株式会社などで、製造装置業を中心とした業務系・基幹業務系システムのSE/MKTG、3層C/Sシステムでの社内業務システム開発の業務に携わる。現在Ajax/Web 2.0関係のセミナー講師、書籍執筆などを行っている。情報処理学会会員。

INDEX
第3回:Web 2.0とAjaxの関係
  Web 2.0におけるAjaxの位置づけ
従来とは異なるシステムの考え
  Ajaxの事例