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Ajaxが開く未来 |
第3回:Web 2.0とAjaxの関係
著者:HOWS 清野 克行 2006/5/12
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Ajaxの事例
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2005年10月5日から7日まで米サンフランシスコで開催された「Web 2.0 Conference 2005」は約30万円の高額チケットにもかかわらず約800名分の席は完売だった。このカンファレンスを通じて注目を集めたのが、企業向けソーシャルソフトウェア(Wiki)を提供するSocialtext社だったのだが、会場から一番歓声があがったのが米Zimbra社のプレゼンで、操作する度に会場から歓声が沸いたという。
同社の「Zimbra Collaboration Suite」はAjaxを各所に組み込んで作られたグループウェアで、メールとカレンダーそれにアドレス帳がAjaxを通じて1つのインターフェースにまとめられている。メールにラベルを付けたりフォルダを作成できるほか、スパムフィルターも用意されている。これらの操作はドラッグ&ドロップやダブルクリックで行い、デスクトップアプリケーションと変わらない操作を可能としている。
Ajax技術を利用したオンラインオフィスツールには、Zimbraのほかにも既に多くのベンダーから発表されており、Webスプレッドシート「Num Sum」や米Upstartle社のワープロソフト「Writely」などはその代表的なもので、すでに実用に耐える機能をもっており、日本からもユーザ登録により無償で使用できることから、使用してみてのレビューなどをblogで公開しているユーザも存在する。
スプレッドシート「Num Sum」では、例えばセルに「=SUM(C2:C4)」といった関数を書き込むと計算結果の数値が表示され、セルの数値を書き換えてもページ全体をリロードすることなく関数の計算結果も即座に変更される。
Ajaxのワープロ「Writely」では文字の大きさや色、書体などを選んで文書を作成でき、表や画像も挿入できる。また作成した文書はHTMLなどの形式で保存され、作成中の文書を自動保存する機能もある(なお、この会社は今年Googleに買収された)。
これらのソフトウェアもWeb 2.0の範疇に属するものだが、前述したMVCモデルに例えたケースとは異なり、Ajaxの技術が中心となっているためAjaxアプリケーションといってもよいものである。
進展によっては、Ajaxアプリケーションの影響力は非常に大きく、前に述べたWeb 2.0で質的に異なる変化をもたらすとしたものがこれに該当する。
これには、これまでのデスクトップアプリケーションがWebアプリケーションに飲み込まれてしまう可能性を秘めているからである。つまりは、これらのソフトウェアはほとんどのPCユーザが使用するものだけに、これらオンラインでの使用が進むようになれば、その影響は絶大と考えられる。RSS/ATOMやSOAP/RESTの恩恵にあずからないユーザがいても、メール/ワープロ/表計算ソフトをまったく使用しないPCユーザはまずいないだろう。
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次回は
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説明してきたように、ユーザに直接訴えることができるビューは非常に重要であり、Web 2.0におけるAjaxの役割は非常に重要である。次回は、Ajaxがどのような影響をおよぼすのかについて説明する。
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著者プロフィール
株式会社HOWS 清野 克行
慶應義塾大学工学部電気科卒。日本アイ・ビー・エム株式会社、日本ヒューレットパッカード株式会社などで、製造装置業を中心とした業務系・基幹業務系システムのSE/MKTG、3層C/Sシステムでの社内業務システム開発の業務に携わる。現在Ajax/Web 2.0関係のセミナー講師、書籍執筆などを行っている。情報処理学会会員。
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