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リッチクライアントの現状と今後の動向
リッチクライアントの現状と今後の動向

第5回:リッチクライアントの将来
著者:野村総合研究所  田中 達雄   2005/4/18
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MXMLとは

   MXMLとは、FlashアプリケーションのGUIを開発できるXMLベースのマークアップ言語である。実際のコードは図6のようになる。さらにFlexアプリケーションの開発ツールとして「Flex Builder」が提供されており、ドラッグ&ドロップでGUIを作成および配置できる。

   これを見る限り、一般的なホームページ作成ツールに類似した開発インターフェースとなっており、筆者も試してみたが、ホームページ作成を経験した開発者であれば、違和感なくFlashアプリケーション開発の世界に足を踏み入れることができるのではないだろうか。
MXMLのサンプルコードと描画例 出所:マクロメディア
図6:MXMLのサンプルコードと描画例
出所:マクロメディア
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ActionScriptとは

   次にActionScriptであるが、これはFlashアプリケーションの処理や動作をプログラミングするために用意されたスクリプト言語であり、実際のコードは図7のようになる。

ActionScriptのサンプルコード 出所:マクロメディア
図7:ActionScriptのサンプルコード
出所:マクロメディア
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   過去、Flashアプリケーションの開発ツールで採用されていたプログラミング言語は、マクロメディア社独自のシンタックスであったが、Flexで採用されたActionScript 2.0では、「ECMAScript(ECMA262)標準」に準拠している。ご存知の読者も多いと思うが、一般的なJavaScriptもECMAScript標準に準拠している。つまり、ActionScript 2.0は一般的なJavaScriptと同じシンタックスとなり、JavaScript開発経験者であれば、ActionScript 2.0でも違和感なくプログラミングできることになる。

Flex Builderについて

   先に触れたFlex Builder(図8)であるが、この開発ツールにも大規模業務アプリケーション開発に適した機能が盛り込まれている。デザイナーやビジュアルコンポーネント開発者の場合は一人で開発することが多く、彼らに用意されたFlash MXもそのような利用シーンを想定して最適化されている。

   しかし、企業向け大規模業務アプリケーション開発となると、一人で開発することは(ほとんど)ありえない。一般的に多くの開発メンバーが参画するチーム開発のスタイルをとる。Flex Builderでは、この開発スタイルに合わせ最適化されたチーム開発機能が盛り込まれており、「既存のデザイン、開発、運用プロセスとの統合が可能であること」の実現に貢献している。

   さらに開発ツール自体も使い慣れた既存の開発環境を利用したいというニーズがある。時期は未定であるが、マクロメディア社ではFlex BuilderをEclipseへのプラグインとして提供することを最優先事項として計画している。

ActionScriptのサンプルコード 出所:マクロメディア
図8:Flex Builder画面
出所:マクロメディア
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   最後に、Flashアプリケーションは代表的なBrowser-Basedリッチクライアントであるにも関わらず、アニメーション制作用ツールとして登場した経緯や開発者不足(WindowsやJavaの開発者数からすれば少数)から、業務アプリケーション開発には向かないと評価されてきた。しかしFlexが提供されたことで、既存技術開発者の取り込みが可能となり、業務アプリケーションにも適したリッチクライアントへと変貌する可能性が出てきた。

   今後Flashアプリケーションが企業向け大規模業務アプリケーション開発分野で確かな成功を収めるためには、業務アプリケーション開発用機能を充実するとともに、既存技術開発者の取り込みをいかにスムーズに手厚くサポートできるかがポイントとなるだろう。


最後に一言

   利用者の操作性/生産性を高めるインターフェースとして、リッチクライアントは、従来型クライアント/サーバ・システムや一部のHTMLクライアントに変わる市場として今後とも成長すると予測される。それとは別に「Project Looking Glass」や「Aero Glass」に代表されるようなデスクトップの世界でも高度なGUIの進歩が進むだろう。

   そんな中、リッチクライアントの将来を考えると、マークアップ言語の存在は大きい。表現力の高いリッチクライアントではプログラミングの難易度が高くなるため、開発者の不足や開発コストの増加が心配される。しかし、プログラミング・スタイルがマークアップ方式であれば、現在HTMLを利用しているWebデザイナーに対し、新たな言語を覚えるために多大な労苦を強いるようなこともない。それに、一般の開発者でも比較的容易に習得できる。そういった効果を考えると、マークアップ言語はリッチクライアントに関する各種の問題を解消してくれるものとして将来期待できる技術といえる。

   これまで5回に渡りリッチクライアントを紹介してきた。アンケート調査や製品動向などこれらの情報が、リッチクライアントの導入を考えている読者の一助となれば幸いである。

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野村総合研究所
著者プロフィール
株式会社野村総合研究所  田中 達雄
1989年4月に富士通株式会社に入社。ソフトウェア工学を専門分野とし「UMLによるオブジェクト指向開発実践ガイド(技術評論社出版)」を共著。2001年2月に野村総合研究所に入社。現在、情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。Webサービス/BPMなどの統合技術、エンタープライズ・アーキテクチャなどが専門。


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第5回:リッチクライアントの将来
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