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SledgeによるWebアプリケーションフレームワーク入門 |
第1回:Webアプリケーションフレームワークとは
著者:ライブドア 栗原 由樹 2005/6/8
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Webアプリケーションフレームワークを導入するメリット
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Webアプリケーション開発を行なう上で課題となる部分は、大きく分けて「開発工数の短縮化」「品質の均一化」「メンテナンス性の向上」の3点になるのではないでしょうか。またこれらはどれも開発コストに直接影響を与えるところでもあります。もし、この課題を一挙に解決する手段があるとすれば、それを導入したいと思うのは当然のことでしょう。
実はWebアプリケーションフレームワークを導入すればこれらの問題をうまく解決することができます。具体的にどのように解決できるのかについてそれぞれ見ていきます。
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開発工数の短縮化
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冒頭でも延べましたが、最近のWebアプリケーション開発には短納期のものが多いため、工数を減らすことが必要となります。しかし工数を減らすといっても開発システム自体を縮小化できるわけではありません。ではどの部分で工数を減らせばよいのでしょうか。
その部分とは「各Webアプリケーションに共通して必要な機能」になります。Webアプリケーションフレームワークは、その共通して必要な機能を提供してくれるため、開発者は毎回似たような機能を実装する必要がなくなり、開発工数を他のビジネスロジックの実装に割り当てることができるようになります。
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品質の均一化
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Webアプリケーション開発は一人で行なう場合もありますが、ほとんどの場合は複数人で開発を行なうことの方が多いでしょう。その場合に各々の開発者がWebアプリケーションのライブラリを別々に実装することは、セキュリティ面などでWebアプケーション自体の品質を均一に保つことが難しくなり、またバグを発生させる確率も多くなるため、あまりよい方法とは言えません。
その点、Webアプリケーションフレームワークを導入すれば、開発者はWebアプリケーションフレームワークのクラス・ライブラリを通してWebアプリケーションを開発することになり、ある程度のコーディングルールが課されるため、品質の均一化、コード自体の保守性、拡張性を確保することができるようになります。
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メンテナンス性の向上
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Webアプリケーションの構築は、開発だけ行なっていればいいというものではありません。開発のあとに待っているものと言えば運用・保守(メンテナンス)です。
Webアプリケーションフレームワークを使用せずに開発をした場合には、その後のメンテナンス作業での苦労が目に見えています。なぜならWebアプリケーション毎にコーディングルールが異なっていたり、実装方法がまちまちで機能拡張やバグ修正などを行なうこととなっても、まず実装方法などを把握することから始めなければなりません。
その点Webアプリケーションフレームワークを使用して開発を行なっていれば、ある程度ルール化されたコードによって開発されたものとなっているため、そのWebアプリケーションフレームワークを知っている人であれば、誰でも短時間で実装を理解できます。機能拡張やバグ改修が必要となった場合でも、ビジネスロジックの設計・実装に注力することができるためメンテナンス性は格段に向上するでしょう。
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Webアプリケーションフレームワークが提供する機能
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これまで何度も触れてきた「Webアプリケーションに共通して必要となる機能」の具体的な内容については次回以降で詳細に触れていきます。ここではどういったものが共通して必要となる機能にあたるのかについて簡単に見ていきます。
以下の機能が一般的なWebアプリケーションフレームワークによって提供される機能、つまりはWebアプリケーションに共通して必要となる機能です。
- セッション管理機能
- 個々のクライアントを識別し管理するために必要な機能。
- テンプレート管理機能
- テンプレート(デザイナー担当)とビジネスロジック(プログラマ担当)を分離して管理する機能。
- データベース管理機能
- O/RマッピングやDBコネクション管理、コネクションプーリング管理をするための機能。
- 認証処理機能
- 多くのWebアプリケーションで見られる会員管理等で必要となる機能。
- その他機能
- 上記の機能以外にも「国際化処理」「HTTPリクエスト/レスポンス処理」「入力の正当性チェック管理」「エラーハンドリング」等があります。
こうして並べてみると、非常に多くの機能が共通化できることに気づくと思います。先程のメリットでも説明しましたが、これらの多くの機能を毎回実装する工数を考えますと、Webアプリケーションフレームワークを導入するメリットが具体的に見えてくるのではないでしょうか。
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著者プロフィール
株式会社ライブドア 栗原 由樹
ライブドアが現在の社名になる前の旧オン・ザ・エッヂ時代に同社の技術力に憧れ入社。そこでオープンソースを用いた数多くのWebアプリケーション開発を経験。現在はコンサルティング事業部にて、同社の業務としてはあまり知られていない受託開発を行なう傍ら、オープンソースへの貢献について考える日々を送っている。
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