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飛躍するオープンソースベンチャー企業
ERP業界にオープンソースで挑戦するビーブレイクシステムズ
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— オープンソースを利用すれば業務システム導入のコストが下がるということですが、例えばSAPで3億円のシステムがいくらくらいになるとイメージすればいいですか

社内風景 社内風景
白岩氏:難しいですが、最もうまくいって3分の1くらいでしょうか。もともとSAPはライセンス料が高いですから、その分がかなり安くなります。構築の部分では、ドイツの会社であるSAPの製品を日本の商慣習に合わせてローカライズする必要があるので、日本ではその分余計にお金がかかります。でも、我々のものはもともと日本向けですから、ローカライズの費用の分は安くなります。SAPのアプリケーションはすごくよくできていて、特にベーシス層と呼ばれる土台の部分はすばらしいのですが、アプリケーションの部分は日本向けではないですからね。


— SAPはコンペティターというよりは協業に近いのでしょうか


白岩氏:近いかもしれませんね。我々はWeb会計システムというパッケージを有償で販売しているのですが、これは、SAPの財務会計のモジュールを日本向けにしたフロントシステムです。それをそれなりに評価していただいていて、SAPの営業の人がその商品を紹介してくれたりしますので、そこは協業関係と言えます。Web会計以外にも同様のアプリケーションが出せれば、それをつなげていくかもしれません。


— 有償で販売するものと無償で公開するものは、どういう基準で考えているのですか

白岩氏:汎用的なものはオープンソースにするべきで、ニッチなものはオープンにしても仕方ない。判断はそういうところですね。


— SAPのような商用のものでビジネスする場合とオープンソースの場合で、ビジネスモデルの違いはどのようなことですか

白岩 次郎氏 白岩氏:我々はあくまでもシステムインテグレータですから、お客様によりよいシステムを提供するのが仕事です。先にオープンソースがあるわけではなく、まずお客さん第一です。その時に何を使うかは、お客様のニーズによります。仕事としてやっていることは、商用のパッケージ製品でもオープンソースでも、たぶん同じでしょう。

   お客様から見た時に、商用とオープンソースであまり機能が変わらないなら、決まった予算の中でさらにソフトを追加することができるオープンソースをお勧めするということです。我々もシステムインテグレータですから、ビジネスモデルは同じだと思いますよ。

   もう1つは、オープンソースに特化した新たなサービスというビジネスモデルが考えられます。Open OLAPの例を出すと、あれは本体は無料で、コンサルティングや保守などを有償にしています。そういう新たなビジネスモデルは考えられるでしょうね。


— システム構築後のサポートの部分はどうなりますか


白岩氏:もし我々がERPのようなオープンソースのアプリケーションを作ったら、サポートを有償にするでしょうね。初めに大きな額のイニシャルコストでライセンス料を払う商用パッケージのビジネスモデルと、初めは無料でサポート料を払っていくというイメージですね。お客様から見たら、そうとう安くなるでしょう。


— 技術者のモチベーションや技術力を維持するために、どのような工夫をされていますか

白岩氏:そもそも採用の時にオープンソースを使うとうたっているので、オープンソースをやりたい人だけが入ってきます。だから、もともとモチベーションの高い人ばかりです。

   ある大手企業から転職してきた社員がいるのですが、彼によると、そのベンダーの系列でしか使えないような技術を使うよりオープンソースのほうが意欲が沸くそうです。オープンソースである程度普及しているものなら、どこででも使える可能性があるので、ベンダー商品向けの特化した技術よりはモチベーションが高いそうです。

   また、入社後は、技術担任制度をとっています。この人はリッチクライアント、この人はセキュリティといったように担当を決めて、それを仕事以外にも自分で調べなければいけないルールになっています。あとは、その専用メーリングリストで議論したり、月に1回社内でやっている発表会で成果を発表したりする。

   さらに、より優れた技術を勉強した人は、雑誌やニュースサイトなどのメディアに寄稿してもらいます。他の会社だと、執筆できる人はおそらく数人程度ではないかと思うのですが、わが社では3分の1くらいの技術者が何らかの執筆活動をしています。

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