基幹系の業務システムとオープンソース。一見すると相容れない組み合わせでシステム開発を手がけるビーブレイクシステムズ。ERPパッケージのトップブランドSAPでのキャリアを生かして起業した代表取締役の白岩次郎氏に、オープンソースの活用戦略を聞いた。
※このインタビューは10月にインプレスより発行予定の書籍「Linuxオープンソース白書2006」(ThinkIT監修)のために行いました。書籍発売に先行して記事を公開いたします。
— まずお聞きしたいのは、オープンソースで儲かっていますか、ということなのですが
白岩氏:儲かってますよ。3期目が終わったところですが、けっこう高い利益率になっています。
— 起業しようと思われたのはどのようなきっかけだったのでしょうか
白岩氏:私は小さい頃からコンピュータが好きで、小学生の頃にBASICや機械語でゲームプログラムを作って、雑誌に投稿したりして遊んでいました。高校生になって、将来は自分で会社を作ろうと思い立ちました。
どんな会社かなと考えた時に、ずっとコンピュータをいじっていたのでコンピュータの会社だろうなと、その時は漠然と思っていました。それで大学は理系の学部に入りましたが、就職する時にはビジネスを学ぼうと思っていったん銀行に入ったんです。支店の融資係などを3年くらいやりました。
30歳になる前にそろそろ起業したいと思い、キャリアパスとしてはシステム業界だろうと考えました。私が将来会社をやるとしたら、コンピュータソフトウェアの会社だろうと思ってはいたのですが、子どもの頃に作ったゲームソフトが技術的には優れたていたかもしれないけれど、ゲームとして面白くなかったんですよ。それで、これはセンスないなと。真面目な硬いソフトにしようと思って、次は外資系のビジネスソフト会社の中から、絶対に業務アプリケーションの仕事ができる会社ということでSAPに入りました。
SAPでは、4年ほど会計モジュールの導入コンサルティングの仕事をしました。その時に大企業の経理システムを作っていたのですが、すごく無駄が多いなと感じました。効率が悪いくて、ちょっとトラブルがあると大損したり、ずいぶん非合理的なことをやっているなと思っていました。
そしてある時、ビジネスモデルを考えついて、ビーブレイクシステムズという会社を作りました。無駄が多いシステム業界に対して、効率よくシステムを作り、それを世の中に広めたいと考えたんです。
ビーブレイクシステムズという社名ですが、ビーはバリアやボーダーのBです。システム構築する際の障害や境界を壊すという意味の会社名で、企業の業務システムを簡単に無駄なく作れるようにしたいという思いを込めています。
— オープンソースを活用した経緯はどのようなものを考えたのですか
白岩氏:ビジネスモデルとしては、企業の業務システムを簡単に作れる「J-Fusion」というアプリケーションをまず作りました。J-FusionのプラットフォームはLinux、PostgreSQL、Tomcatといったオープンソースですが、J-Fusion自体は有償です。また、その上に載せるアプリケーションもiReportやJFreeChartであったりと、オープンソースをつなぎ合わせるようなしくみになっています。そういうことから、自然とオープンソースというものに特化していきました。
— SAPでシステム構築されていた時と今とでは、どのように違いますか
白岩氏:SAPの製品はパッケージとしてできあがっているので、コーディングなどはほとんど必要ないのですが、J-Fusionの場合はある程度作り込みが必要です。
— SAPでやっていた仕事の領域を、そのままオープンソースに持っていったというわけですか
白岩氏:SAPの対象となるのは大企業の巨大システムですが、我々が受注するのは中堅以下のシステムになります。だから、競合はしないですね。
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