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飛躍するオープンソースベンチャー企業
ERP業界にオープンソースで挑戦するビーブレイクシステムズ
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白岩 次郎氏 — モチベーション向上のために、別途手当てを支給しているのですか

白岩氏:していません。技術者は、自分の名前が業界に知られたほうが嬉しい。そういうことでやる気になるようです。


— オープンソースだから教育の部分で初期投資が余計にかさむということはありませんか

白岩氏:入った後に1〜2か月の研修をやります。即戦力になるような人でも、きちんと研修を受けてもらうのが当社の流儀です。あとは、技術担任制度や技術メーリングリストの活動が初期投資の部分でしょうか。金額的にはあまりかかっていませんね(笑)。


— オープンソースはコミュニティとの関係がいろいろと難しいと思いますが、どのようにされていますか

白岩氏:開発関係のコミットメントは、まったく行っていません。メーリングリストに質問を投げる程度です。理由は、我々はユーザサイドに立った仕事をしていますから、特定のコミュニティに深く入って、影響を受けたくないからです。技術情報の公開については、初めは公開していいかどうか迷いましたが、公開することによるメリットが多いとわかったので公開することにしました。つまり、知名度が上がりますから。業界内で名前が知られると、いろいろとメリットがあります。


— 今後はどのようなことに力を入れて取り組んでいく予定ですか


白岩氏:ユーザ企業に対して、オープンソースを組み合わせてよりよいシステムを提供するという路線は、これまでと変えません。その他に、業務アプリをオープンソース化して、新たなサービスを作って提供したいと思っていますし、情報処理推進機構(IPA)のオープンソース基盤事業に応募してみたいなとも思ってます。


— ERP業界に対して、提言したいことはありますか


社内風景 社内風景
白岩氏:うちもERPで仕事をしていますので、あまり批判的なことは言えないのですが、大手のベンダーも例えばIBMのようにオープンソース化できるところはするなど、そういう活動にどんどん入っていってもらいたいとは思います。

   お客さんが欲しいものを提供するのがシステムインテグレータなので、オープンソースをやるからERPをやらないということではないです。大企業向けのアプリケーションはERPやSAP製品がいいと思いますし、そこまで大きくない業務アプリケーションであれば、J-Fusionに載せたアプリケーションがいいと思います。現在のところ、売り上げ比率はオープンソースを使ったものが7割、ERPは3割です。会社を作った当初はERPの仕事が多かったのですが、オープンソース戦略を打ち出してから、だんだんシフトしてきましたね。


— 今後1年で注目している動きはありますか。また、今後の目標などがあったらお聞かせください

白岩氏:以前から考えていたのは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)やWebサービスの分野です。会社設立時からずっとSOAがビジネスにならないかと思っているのですが、まだ普及していないですね。これが企業の中でもっと使われるようになるといいなと思っています。

   SAPもSOAを重視すると言ってるのですが、日本ではまだ使いこなせていません。SOAを利用すれば、例えばA社とB社が両方SAPを使っていたら、受発注は勝手にサーバ同士が通信してやっくれます。技術的には可能なのですが、ユーザがそこまで至ってないのでできない。そういう技術が使えるようになれば、我々としてもどんどん取れ入れていきたいと思います。また、社内のことでは、オープンソースの業務アプリケーションをリリースして、皆さんにどんどん使ってもらえるようになればいいなと思っています。


— どうもありがとうございました。


株式会社ビーブレイクシステムズ 代表取締役社長 白岩 次郎氏

株式会社ビーブレイクシステムズ
代表取締役社長 白岩 次郎氏

10歳から機械語でプログラミングを行う。上智大学卒業後、銀行で支店融資業務やプロジェクトファイナンス業務に従事。その後SAPジャパンにて会計モジュール導入コンサルタントとなり、数多くのプロジェクトを担当。これらの経験を生かしビーブレイクシステムズを設立し代表に就任、現在に至る。

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