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ITインフラの新しい展望
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第4回:IBM System p5の仮想化機能とオープンへの取り組み
著者:日本アイ・ビー・エム  藤井 克美   2005/11/21
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マイクロ・パーティションの利点

   マイクロ・パーティショニングを語る時、1CPU以下の能力を割り当てる「小さなLPAR」に焦点が当たることが多々あります。多数の小規模なサーバーをハイ・キャパシティーなサーバーに統合できる点はマイクロ・パーティショニングの使い方の1つではありますが、マイクロ・パーティショニングの利点はそれだけではありません。大規模なデータベース・サーバーにおいてもマイクロ・パーティショニングを使用した効率的なサーバー統合がはかれます。

   例えばサーバー・サイジングの結果、2.5CPU相当の能力を持ったサーバー4台が必要となったとしましょう。IBM System p5のマイクロ・パーティションでは、そのまま2.5×4=10の10CPUでことは足りますが、POWER4のようなCPU単位でリソース配分を行う分割方式では、1つのLPARに必要となるCPU能力は3CPUに切り上げられ、サーバー全体では3×4=12で12CPU必要となります。

   デュアル・コア・チップのCPUでチップ単位でしか分割できない場合だと2CPU単位への切り上げとなるので、2.5CPUの能力に対して4CPUの割り当てとなり、サーバー全体では4×4=16で16CPUのサーバーとなり、マイクロ・パーティションに比べて6CPU余分に必要となります。

   またマイクロ・パーティションを使用した場合、各LPARに割り当てられるCPUリソースはVirtual Processor(VP)として仮想化され、物理CPUは共用プロセッサー・プールで管理されます。CPUが仮想化されることにより、例えばCPU障害で予備CPUへの切替を行う際には、ファームウェアによる共用プロセッサー・プールのCPU切替だけで処理することができ、LPAR上で稼働するOSにCPUの切替を認識させないため、OSレベルでの回復処理が不要となります。

   IBM System p5には、動的CPUデアロケーションや動的CPUスペアリングといったCPU障害時でもシステムを連続稼働させる仕組みが搭載されていますが、マイクロ・パーティショニングはこれらを更に有効に働かせるものでもあります。

   同様に、ピーク時の一時的なCPU能力の増強についても考えてみましょう。動的LPARにより、OSを稼働させたままCPUを追加することも可能ですが、物理的なCPUを追加することはOSが認識するシステム構成の変更を伴います。このため、多少なりともOSに負荷がかかります。

   これに対して、マイクロ・パーティションではCPU能力をProcessing Unit(PU)として設定し、OSが認識するCPU数であるVPとは別に管理します。マイクロ・パーティションでのCPU能力の増強はPUの増加で行われるためOSが認識するCPU数(VPの数)の変更を伴わずに実施でき、OSの構成変更を行わずに済みます。すなわち、LPAR上のOSが認識するシステム構成からは透過的にCPU能力の増減が可能となり、よりスムーズなピーク時対応が可能となります。

   以上のように、マイクロ・パーティションはハイ・キャパシティーのサーバー機を小規模に分割すること以上に、CPUの仮想化による柔軟性・可用性の向上に有効に働くものといえます。


IBM System p5のオープン化

   続いて「Commit to Openness」、オープン化への取り組みについて説明します。システムの柔軟性はリソース配分の面だけで語られるものではありません。稼働するOSの選択や接続できる周辺機器の多様性も必要といえます。IBM Systems Agendaの2つ目の柱である「Commit to Openness」はこのような観点での柔軟性を支えるものです。

   IBM eServer p5で稼働するOSとしては、IBMのUNIX系OSであるAIXだけではなくIBM eServer i5のOSであるi5/OSや、オープン・ソースのOSであるLinuxの主要なディストリビューションであるRed Hat Enterprise Linux、SUSE Linux Enterprise Serverを選択することができます。OSの選択肢が複数あることは、IBM System p5に統合できるサーバーの範囲を広げることにつながり、仮想化との相乗効果でITインフラの簡素化・最適化を推進します。

   

オープンなシステム統合基盤の提供
図2:オープンなシステム統合基盤の提供

   また、AIXは1990年のAIX V3発表以来、積極的に業界標準を採用しています。現在の最新版であるAIX 5L V5.3は、The Open Groupが定めるUNIX標準のsingle UNIX specification version 3およびISO/IEC 9899:1999(C99)に準拠したCプログラミング言語国際標準に適合する設計となっています。TCP/IPやJ2EEといった業界標準は当然のこととして、グリッド・コンピューティング開発用の「IBM Grid Toolbox」はOpen Grid Service Architecture(OGSA)に準拠したサービス・セットを提供し、IBM System p5以外のプラットフォームとの間でのグリッド・コンピューティング環境の構築を可能とします。


コラボレーション

   コラボレーションでは、個別のお客様やビジネス・パートナー様との協業・連携についてもいっそうの強化をはかり、積極的に取り組む意向ですが、「UNIXサーバー」という業界全体を底上げするためにコミュニティーの設立・運営にも力を注いでいきます。

   例えば、POWERアーキテクチャーのオープン標準化に関するコミュニティーであるpower.orgが2004年に15社のメンバー企業で設立されましたが、IBMはこれに当初から参加しているメンバーです。また、最近ではブレード・サーバーに関するコミュニティーであるBlade.orgの立ち上げを発表しました。このような、IBMが設立に直接関与したコミュニティーだけではなく、いくつかのオープン・ソース・プロジェクトなど既存のコミュニティーにもIBMは参画しています。Linux for zSeriesやLinux on POWERのカーネル対応として、Linuxカーネルの開発コミュニティーであるkernel.orgへの参加や、POWERチップ用Linuxの64bit化を行うpenguineppc64.orgへの参加などがオープン・ソース・コミュニティーへの関わりの例としてあげられます。

   また、IBMのWeb・サイトでは、AIX 5LとLinux on POWERに関する情報交換の場として、BBS形式のforum、blog、そしてwikiを提供しています。

AIX 5L and Linux on POWER Community Portal
図3:AIX 5L and Linux on POWER Community Portal
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   このような場を通じて、AIXやLinux on POWERについて、IBMだけではなく、お客様やパートナー様の相互交流の促進がはかられています。

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日本アイ・ビー・エム株式会社 藤井 克美
著者プロフィール
日本アイ・ビー・エム株式会社  藤井 克美
日本アイ・ビー・エム株式会社アドバンスド・テクニカル・サポート ACP ITスペシャリスト
1985年入社。NTT担当のシステムズ・エンジニアとしてメインフレーム系ネットワーク(VTAM/NCP)を担当。1991年より幕張システム・センター(現IBMシステムズ・エンジニアリング(株))にてAIXに関する技術サポートを担当。現在はアドバンスト・テクニカル・サポートにて、pSeries及びLinux on POWERの技術サポート全般を担当。


INDEX
第4回:IBM System p5の仮想化機能とオープンへの取り組み
  UNIXサーバーにおけるIBM Systems Agenda
マイクロ・パーティションの利点
  システム世代におけるUNIXサーバー基盤
  柔軟性