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ITインフラの新しい展望
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第4回:IBM System p5の仮想化機能とオープンへの取り組み
著者:日本アイ・ビー・エム  藤井 克美   2005/11/21
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柔軟性

   絶えず変化するオンデマンド・ビジネスを支えるITインフラではシステム負荷は一定ではありません。月次や四半期ごとのバッチ処理のように、定期的に訪れるピーク以外に、インターネット販売における人気商品への突然の注文の殺到など、予測し難いシステム負荷の増加もあり得ます。これらに対して、IBMはCapacity on Demand(CoD)という柔軟性を提供しています。

   CoDとは、前もって予備のCPUやメモリーを搭載しておき必要に応じて活動化して使用する機能で、IBM eServer pSeriesではp650/p670/p690でCPUとメモリーのCoDが、IBM eServer p5/System p5ではモデル550でCPU CoDが、570/590/595でCPUとメモリーのCoDがサポートされます。また、活動化する方法によって次のようにタイプ分けされます。

CoDのタイプ 説明
Capacity Upgrade on Demand(CUoD) CPU/メモリーを恒久的に起動
On/Off CoD(IBM eServer p5/System p5のみ) 必要に応じてCPU/メモリーを起動・停止
それぞれの使用量に応じて課金(後払い方式)
Reserve CoD CPUのみ対象
前もって契約したCPU使用量の範囲内で、システム負荷に応じて自動的に起動・停止(前払い方式)
Trial CoD CPU/メモリー追加の効果を検証
1回だけ連続30日間の無料起動が可能

表2:CoDのタイプ

   Reserve CoDは、システム負荷の増加にシステム側で速やかに対処できる点で、先の例での定期的なバッチ処理によるピーク対応やインターネット販売での急激な注文殺到への対策に適しているといえます。On/Off CoDは、オペレーター操作による起動・停止であることから、ある程度事前の計画が必要となります。この点で、バッチ処理のピーク対応にも向いていますが、高可用性クラスター(HAクラスター)でのCPU使用がより適した使い方と考えられます。

   HAクラスターでは、通常時と障害時の片寄せ運用時ではシステム負荷が大きく異なります。コールド・スタンバイの構成では、スタンバイ側の通常時はほとんどシステム資源を使用しませんが、障害時には本番マシンと同等の性能が求められます。両方で本番業務を行う、アクティブ・アクティブの構成であっても、障害時には片側で2台分の処理を行うことになるのでそれに耐えられるシステム資源が必要です。

   このように、HAクラスターは障害運用時にはシステム資源を大きく増加させる必要がありますが、その量はあらかじめ予想できます。障害時に増加させるシステム資源をOn/Off CoDで動的に起動・停止させれば、通常運用時に必要なシステム資源とのギャップに対処することができ、システム資源を有効に活用できます。

   以上のように、IBM System p5はUNIXサーバーとして今後のオンデマンド・ビジネスのIT基盤を支える機能を実装しています。そして、今後もIBM Systems Agendaに基づいてこれらの充実をはかり、より強固なシステム基盤へと変革し続けることでお客様を成功に導く一助となることを目指しているのです。

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日本アイ・ビー・エム株式会社 藤井 克美
著者プロフィール
日本アイ・ビー・エム株式会社  藤井 克美
日本アイ・ビー・エム株式会社アドバンスド・テクニカル・サポート ACP ITスペシャリスト
1985年入社。NTT担当のシステムズ・エンジニアとしてメインフレーム系ネットワーク(VTAM/NCP)を担当。1991年より幕張システム・センター(現IBMシステムズ・エンジニアリング(株))にてAIXに関する技術サポートを担当。現在はアドバンスト・テクニカル・サポートにて、pSeries及びLinux on POWERの技術サポート全般を担当。


INDEX
第4回:IBM System p5の仮想化機能とオープンへの取り組み
  UNIXサーバーにおけるIBM Systems Agenda
  マイクロ・パーティションの利点
  システム世代におけるUNIXサーバー基盤
柔軟性