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教育現場におけるオープンソース実証実験

第4回:クラスルームPC管理ソフトウェア
著者:三菱総合研究所  比屋根 一雄   2005/9/16
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クラスルームPC管理ソフトウェアの動作イメージ

   「クラスルームPC管理ソフトウェア(spcman)」は、本実証実験で開発したコピー管理方式のPC管理ソフトウェアです。IBMのDevelopers Worksでオープンソースとして公開されています。

   クラスルームPC管理ソフトウェアの動作イメージを下図に示します。

クラスルームPC管理ソフトウェアの動作イメージ
図1:クラスルームPC管理ソフトウェアの動作イメージ
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   クラスルームPC管理システムは、1台の管理サーバ、1台の参照PC、複数台のクライアントPCから構成されます。

   管理者は参照PCに対して、ソフトウェアの導入、アップデート、デスクトップの調整など、必要な設定を随時行います。そして、毎晩あるいは週1回程度、夜間に自動で参照PCのディスクイメージが各クライアントPCにコピーされます。

   実際には、以下のような手順でコピーを行います。

  1. 参照PCのディスクイメージを、管理サーバが吸い上げる
  2. 管理サーバはクライアントPCをネットワークブート(PXEブート)する
  3. 起動されたクライアントPCでディスクコピープログラムが起動し、管理サーバからディスクイメージをダウンロードし、ディスクに書き込む
  4. 上記2、3をすべてのクライアントPCに対して行う

表3:コピー手順

   ただし正確には、各クライアントPCは完全に同一ではなく、個別の設定情報が5つ(ホスト名、IPアドレス、標準ゲートウェイ、主DNS、副DNS)あります。これらの個別情報はイメージ配布が完了した3の後に、管理サーバから情報をダウンロードして上書きされます。

   また、My Documentなどの保護ディレクトリを設定することもできます。こちらは、3の直前に保護ディレクトリ以下をtarで固めて、一旦管理サーバにアップロードし、イメージ配布が完了した後に再びダウンロードして復元します。


クラスルームPC管理ソフトウェアのメリット

   クラスルームPC管理ソフトウェアを用いれば、教員が管理するのは参照PCだけでよくなります。ソフトウェアのインストールやアップデートも参照PCだけに行えばよいのです。

   誤操作やいたずらでデスクトップが壊れたり、ネットワーク設定が壊れた場合でも、一晩待てば自動的に参照PCのイメージがコピーされるので、管理者は何もする必要がありません。

   ハードウェア故障時も、故障部品を交換してネットワークに繋ぐだけで、自動的に復旧します。

   このように、クラスルームPC管理ソフトウェアは、PC管理作業を大幅に削減することができるのです。


他のPC管理ソフトウェアとの比較

   商用製品でも数多くのPC管理ソフトウェアが発売されています。

PC管理ソフトウェアの比較
表4:PC管理ソフトウェアの比較
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大表示します)

   クラスルームPC管理ソフトウェアと同様に、コピー管理方式をサポートする製品もいくつかあります。「瞬快」「PCVisor」「Power Cockpit」などです。しかし、これらは企業向けであり、いずれも1台あたり数万円のライセンス料です。このため40台で50〜100万円のコストを要します。

   クラスルームPC管理ソフトウェアは、オープンソースであるため、利用は無料です。今後100台単位でクライアントPCを管理することを考えると、この低コストさは大きなメリットです。

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三菱総合研究所
著者プロフィール
株式会社三菱総合研究所  比屋根 一雄
情報技術研究部  主席研究員
1988年(株)三菱総合研究所入社。先端情報技術の研究開発および技術動向調査に従事。最近は「OSS技術者の人材評価調査」「日本のOSS開発者調査FLOSS-JP」「学校OSSデスクトップ実証実験」等、OSS政策やOSS技術者育成に関わる事業に携わる。著書に、「これからのIT革命」、「全予測情報革命」、「全予測先端技術」(いずれも共著)などがある。「オープンソースと政府」週刊ITコラム「Take ITEasy」を主宰。


INDEX
第4回:クラスルームPC管理ソフトウェア
  クラスルームPC管理ソフトウェアの概要
クラスルームPC管理ソフトウェアの動作イメージ
  操作を容易にするシナリオ
  つくば市での実証実験