Javaの統合開発環境として定番のEclipse。プラグインによりその機能を自由に拡張することができるアーキテクチャによって、今ではJava開発環境の枠を越えて汎用的なアプリケーションフレームワークとして利用されているのだ。「まるごとEclipse」ではEclipseの最新版3.1とその周辺技術にスポットを当て、最新情報を余すことなく解説した1冊である。
最新Eclipse 3.1によるEclipse再入門
第1回:Eclipseプロジェクト
著者:DTS 木村 真幸(KIMURA, Masayuki)
Eclipse 3.1の新機能
すべてのEclipse 3.1の新機能は、Eclipseホームページの「New and Noteworthy」と、Eclipseのメニューバーから「ヘルプ → ヘルプ目次」で起動した、ヘルプウィンドウ左メニューの「ワークベンチ・ユーザー・ガイド → 新機能」で確認することができます。
ListやMapといったコレクションライブラリーからオブジェクトを取得するときの煩わしいキャスト(コレクションライブラリーにintを格納する時に Integerを生成して格納し、取り出すときはその逆をする)の作業をついに解放してくれる、Genericsや Autoboxing/unboxingなどJ2SE5.0の新機能すべてをサポートしています。
アノテーションを使ってみよう
Eclipseの基本的な動作を押さえたところで、J2SE 5.0の新機能であるアノテーション(Annotations)を使ってみましょう。アノテーションとは、クラスやメソッド、フィールドなどのプログラム要素に対して、プログラム的に意味付けを行うことです。アノテーションを使わない場合、ソースコードにコメントを挿入したり、別途ドキュメントを作成するなどしてプログラム要素の意味を残すのが普通です。
しかし、これはプログラムコードと必ずしも同期しているわけではなく、時とともにドキュメントがプログラムに対して古くなってしまうというのは読者にも経験があるのではないでしょうか。ここでは、よく使われると思われる「Overrideアノテーション」「Deprecatedアノテーション」「SuppressWarningsアノテーション」を使ってみます。
Visual Editorを使ったSWT開発
第1回:SWTの特徴
著者:DTS 五座 淳一(GOZA, Junichi)
はじめに
数年前までのJava製クライアントアプリケーションは遅く、見た目も劣っていた印象がありましたが、Eclipseの登場で状況は一変しました。 Javaで開発されたクライアントアプリケーションがネイティブなクライアントアプリケーションに匹敵する軽快さ、操作感を持っていることに驚かされたのは記憶に新しいのではないでしょうか。
そのEclipseのユーザーインタフェースに使用されているのが、本稿で解説するSWT(Standard Widget Toolkit)です。本稿では、手軽に開発を始められるように、GUIビルダーを使ってSWTアプリケーションを開発する方法を解説していきます。GUIビルダーを使うことで、高い生産性が期待できるだけなく、自動生成されたソースコードを使ってGUI開発の学習にも使用できます。
Visual Editor
手軽にSWTアプリケーションの開発を始めるために、今回はVisual Editorプラグイン(以降VE)を使用することにします。VEは、Eclipseのツールプロジェクトで開発、提供されているオープンソースGUIビルダーです。AWT/Swing/SWT/Eclipse RCPの開発をサポートしています。
VEはWYSIWYGな開発環境を提供しており、画面デザインから自動生成されるのはシンプルなJavaコードのみで余計なファイルが生成されることがありません。そのため、自動生成されたソースコードを使ってGUI開発を学習するのに向いていると言えるでしょう。
Exadel StudioによるStruts/JSF開発
第1回:Exadel Studioとは何か
著者:竹添 直樹(TAKEZOE, Naoki)
Exadel Studioとは
Exadel Studioは、米Exadel社が開発しているEclipseプラグインで、StrutsやJSFの開発支援機能を中心にWebアプリケーション開発をサポートする多彩な機能を備えています。Exadel Studioには商用バージョンと無償バージョンが存在しますが、本稿では執筆時点の最新版であるExadel Studio 3.0.4の無償版を使用したStruts/JSF開発について見ていきます。
StrutsとJSF
Strutsについては読者の皆さんもすでによくご存知のことと思います。JSFはStrutsに似た部分もありますが、コンポーネントベースの、より洗練されたプログラミングモデルを提供します。Strutsではstruts-config.xml、JSFではfacesconfig.xmlで画面遷移などの設定を行います。また、Strutsの場合は入力値を格納するアクションフォームと、処理を行うアクションを実装する必要がありますが、JSFではこれらをマネージド・ビーンとして実装します。
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