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今だから知っておきたいXMLデータベースの成功ポイント
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第2回:仮想事例から見るXMLデータベースシステムの開発

著者:ウルシステムズ  伊奈 正剛   2007/1/26
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企業システムへのXMLデータベースの適用指針

   「第1回:XMLデータベースのつまづきはなぜ起こるのか」ではXMLデータベースを適用する指針として、以下の4つのポイントを示した。
  • 半定型文書処理に着目したビジネス課題の解決
  • 定型的でない創造的な業務への適用
  • 十分な性能を引き出せる製品の採用
  • 仕様の柔軟な変更を求められるプロジェクトへの適用


   これらの指針を具体的にどのようにXMLデータベースで実現していくかについて、仮想事例を用いながら解説する。


システム構築のビジネス上の狙い

   紹介するものは、ある総合スーパーで「商品取り扱いマニュアルシステム」をXMLデータベースで構築した事例である。

   この事例におけるシステム構築のビジネス上の狙いは、総合スーパーの競争力の根幹である商品開発力の増強にある。この総合スーパーは、食品を中心に日用雑貨や電気製品、家具にいたるまで非常に幅広い商品を扱っている。特に近年では海外まで視野に入れた新しい商品の開発に力を入れている。

   この商品開発のキーを担うのが購買担当者(バイヤー)である。購買担当者は世界各地で価値のある食材などを見つけ、国内の需要に合う商品になるような加工をして、輸入を行い、店舗に並べるまでの段取りを決める必要がある。そのためには生産者、加工業者、物流業者など多くの関係者との取り決めが必要になる。購買担当者はこのような新しい商品を扱うビジネスを立ち上げる創造的な活動に加え、契約後の輸出入や決済などの履行作業にまで関わる。

   こうした世界中からの多種多様な商品を扱う場合、企業内での分業やIT化による効率化が難しいという悩みが存在する。扱う商品の種類が非常に多いということは取引相手も同様に広範囲となり、契約後の作業である実際に商品を移動して決済を行うまでの手順もまた多種多様となる。このため、購買担当者が契約後の履行作業にまで関わらないと進められない点が残っており、それが業務の手離れの悪さにつながっていた。

   そこで、このビジネス上の課題を解決するために、IT導入によって、購買担当者を本来の新商品開発に注力させることと、契約後の処理を効率化することの2つが目標として掲げられた。具体的な施策としては、ERPの導入と契約後の履行作業を行う専門部署を立ち上げ、分業化をはかることとした(図1)。

システム導入による業務の分業化
図1:システム導入による業務の分業化
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   この実現のためには、購買担当者が取り扱っている数多くの商品について、個々の履行業務をいかにしてスムーズに専門部署に引き継ぐかという点を解決しなければならない。このために考えられたのが、XMLデータベースを用いた「商品取り扱いマニュアル」である。

   それでは、先に示したXMLデータベース適用の4つの指針を用いて、この「商品取り扱いマニュアル」の事例を検討していくことにしよう。

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ウルシステムズ株式会社 伊奈 正剛
著者プロフィール
ウルシステムズ株式会社  伊奈 正剛
前職よりEDI、B2B、EAIといったシステム構築を中心に、XMLを駆使したシステムの開発に携わる。現職では、流通業界向けの次世代XML-EDIシステムの構築とその導入コンサルティングに従事するかたわら、XMLデータベースのビジネス活用に向けて検討を進めている。


INDEX
第2回:仮想事例から見るXMLデータベースシステムの開発
企業システムへのXMLデータベースの適用指針
  半定型文書としての業務マニュアル
  仕様変更に強い開発プロセスの実現