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即活用!企業システムにおけるプロジェクト管理
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第4回:コスト管理の構造と見積手法

著者:システムインテグレータ  梅田 弘之   2004/12/20
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コスト管理の構造とコスト&精度

   PMBOK(Project Management Body Of Knowledge)のコスト管理は、計画段階で「資源計画」「コスト見積」「予算設定」という3つのプロセス、実行段階で「コスト管理」というプロセスに分類されています(第3回 表1参照)。資源計画の資源とは、ソフトウェア開発の場合だとほとんどが「人的資源(リソース)」となりますが、開発・テスト環境やツール類なども、必要なら忘れずにコスト要因として加えてください。


見積コストと見積精度のバランス

   「開発コストの見積精度を高める」ということは、システムインテグレータ企業にとって永遠のテーマです。高く見積れば競争力を失うし、低く見積れば赤字プロジェクトになってしまいます。そのため「すばらしい見積手法・ツールを得て、正確な見積ができるように」と願うのですが、青い鳥と同じくそんな魔法のツールはありません。しかし、だからと言っていつまでも"どんぶり見積"のままで良いわけもありません。少しでも見積精度を向上しようという努力・アプローチは決して無駄になりませんし、それが企業の競争力につながるのです。

   見積精度を上げるためには、そのための情報と作業工数が必要になります。しかし一般にSIerは、ユーザーのシステム部門に比べて見積算出時に得られる情報は少ないというのが普通です。また、見積作業にかかる工数も対価としてもらえない事が普通なので、見積作業に多くの時間をかけるわけにもいきません。その上、必要な情報と見積作業時間を十分得たとしても、それで精密な見積ができる保証もありません。そのため、見積作業に要するコストと見積精度のバランスの中で、効率の良い見積手法が必要とされるのです。

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システムインテグレータ
著者プロフィール
株式会社システムインテグレータ  梅田 弘之
東芝、住商情報システムを経て1995年にシステムインテグレータ社を設立。 常駐・派遣主体の労働集約的な日本のソフトウェア業の中で、創造性にこだわってパッケージビジネスを行っている。 国際競争力のない日本のIT産業が、ここから巻き返しを図るための切り札は「プロジェクト管理」だと信じ、実践的なプロジェクト管理手法「PYRAMID」を自社開発している。


INDEX
第4回:コスト管理の構造と見積手法
コスト管理の構造とコスト&精度
  見積手法の種類(1)
  見積手法の種類(2)
  実行中のコストトラッキング