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第5回:発注側の体制・社内体制を整える

著者:システムクリエイト  田中 徹   2004/12/17
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担当窓口を決める

   私がシステムコンサルタントとして、トラブルを抱えた会社の相談を受け現状を調査すると、明らかに発注者側の責任において防げた問題だった、というケースも少なくありません。しかし、責任の所在がはっきりしている場合は問題解決も比較的楽に済みますが、そうでない場合何が原因なのか分からなくなる事があります。つまりこの場合「発注者側の体制の不備」が問題の原因となったのです。そうならない為には、まず最初に「担当窓口を決める」事が必要です。

   システムはいろいろな部署・部門の方が使うでしょうし、たくさんの方から意見・要望が出てくる事でしょう。それらをまとめ、調整し、開発担当のSEに説明をする責任者として、担当窓口を一人決めてください。そして、担当責任者になったら「質問・意見などは全て私に言ってください。私が窓口です」と開発会社に対して立場を明確にします。しかし、開発会社の方から「どなたが発注窓口としての責任者ですか?」と聞いてくることもあります。こういう開発会社なら、数多くのプロジェクトを経験していると思えるので安心できます。

   発注責任者・担当窓口になれば、たくさんの質問を受けることになります。設計段階ではSEから機能について、環境・手法などの選択について、スケジュールについて。開発段階ではプログラマからユーザーインターフェース、操作性、運用ルールについてなど、全体的な質問から細部に至るところまで、本当に多岐に渡る質問をされ、答えなければなりません。それらに対応するためには、関連各部署の協力が重要不可欠なことは言うまでもありません。

   そういった協力をできるだけ多く、迅速に受けられるためにも、発注担当者がどの程度システム化へ向けて時間、労力を注いでいるかを明確にする必要があります。「選任の担当者がいる。システム化へ向けて、一生懸命に取り組んでいる」という姿勢は、社内外に対して重要なアピールにもなります。


どう担当窓口を決めたらいいか

   担当窓口を決める立場の方なら、これだけの重責を任せる場合、どうやって人選すればいいのか悩んでしまうかもしれません。でも心配はありません、担当者一人で全部解決しなくてもいいのです。解決する術、対応策だけを身につけさせればいいのです。

   システムの規模が大きくなればそれだけ窓口になった人は忙しくなります。当然、片手間でできる仕事ではありません。時には今までの業務を軽減してでも担当者としてコトに当たらなければならない場合もあります。もし形だけの担当者だったり、「片手間として仕事に当たっている」という印象を開発会社に与えてしまうと、その程度のシステムと思われ、相手もそれなりの対応しかしなくなるでしょう。そうならないためにも、発注者側の体制を整えておく必要があります。

   発注者側が専任された窓口を置く必要があるなら、開発側はどうでしょうか。もちろん担当や責任者のSEを指定してきます。要件定義を終えるまで、設計が済むまで、開発期間中と段階に合せてSEが代わることもありますが、必ず誰かが開発側の責任者として担当します。


担当者はどこまで知識が必要か

   システム開発に携わる発注者側の窓口担当者というと、IT関連に精通しており、開発環境・コンピュータネットワークの構成・データベースにくわしく、データ関連図やシステム構成図が描ける人と思われがちです。しかし、これは大間違いです。「全く必要がない」とは言いませんが、SEと話をするのに支障がない程度に知識があればよく、ましてシステム構成図を描くなどは開発者の仕事です。説明を聞きながらシステム構成図が理解できるくらいでいいのです。

   そのために必要な知識としては、ネットワーク系やWeb系など環境についての多少の知識、データベースについての基本的機能や特性は最低限知っておいたほうがいいでしょう。 開発言語については特に精通する必要もありませんが、どんな言語があるのか、それぞれどんな特徴があるのか、現在の主流はなにか、環境により何か依存する言語があるか、という程度でいいでしょう。あまり特殊な言語で開発されると、のちのメンテナンスに支障をきたすことも考えられます。


発注担当者

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著者プロフィール
システムクリエイト有限会社  田中 徹
代表取締役。1963年生まれ。MS-DOS時代から、汎用機−PCでのデータ送受信を行ってのチャート(金融業)、表・グラフ描画(財務系)などのシステム開発を行う。 社内人事管理(勤怠・人材活用)、流通業、制御系の分野や集計業務なども手掛ける。ソフトウェアハウスや大手開発会社まで多数の現場で開発を経験し、33歳で独立。現在は各業種・分野でSEとして、またシステムコンサルタントとして活動中


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