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ビジネス・プロセス・マネージメントの現状 〜 「経営と情報の架け橋」の実現にむけて
第7回:プロセスの検討が必要な理由
著者:
IDSシェアー・ジャパン 渡邉 一弘
2005/8/22
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なぜプロセス検討が必要だったのか?
今回ご紹介するお客様は、Cable Television(以下CATV)業界で地域密着型の放送・通信サービスを日々ご提供されている株式会社キャッチネットワークです。
株式会社キャッチネットワークのBPMサイクルの継続的実施に向けた活動をご紹介するには、先ず、CATV業界のおかれている状況を説明する必要があるかと思います。
CATV業者の専用ケーブル網を利用した事業は、大きく「多チャンネル視聴サービス事業」と「インターネット通信サービス事業」という「放送事業」と「通信事業」の2つがあげられます。皆様の中でもCATVに加入し、これらのサービスを受けられている方がいらっしゃるかと思います。
この「放送事業」と「通信事業」の方向性に関して、今後、大きな影響を与える国の施策として、総務省の情報通信審議会で審議されている「e-Japan戦略IIにおける2011年までの地上放送全デジタル化」があげられます。
情報通信審議会
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/index.html
その施策の基本的な考え方は表1であり、「通信・放送融合」が進められようとしています。
放送・通信双方におけるデジタル化、通信のブロードバンド化、これらに伴う技術革新の中で、「通信・放送融合」は当然の流れ
アナログ放送にない、デジタル放送の最大のメリットの1つは、「通信・放送融合」の成果を活用できること。「融合」の推進と活用こそ、視聴者の利便向上と、効率的なネットワーク整備を可能とする1つの鍵
「2011年全面移行」の実現には、こうしたメリットの最大限の活用が必要。2011年に向け、当委員会で指摘された「送信面」「受信面」の課題解決に全力で取り組むことはもちろん、「通信・放送融合」の成果をより効果的に活用するための環境整備が不可欠
表1:e-Japan戦略IIにおける2011年までの地上放送全デジタル化の考え方
最近、CMでよく目にするVideo On Demandサービスは、インターネット通信網でレンタル・ビデオなどの動画配信を行うサービスであり、まさに「通信・放送融合」が進んでいることが実感されます。
この「通信・放送融合」が進むということは、CATV会社の「多チャンネル視聴サービス事業」市場へ、CATV業界以外の他の通信事業者やインターネット・サービス・プロバイダが参入することとなり、激しい競合状況が発生することが考えられています。
そして、このような新たな競合関係に加え、インターネット通信網の急速なブロードバンド化・高速化により、「インターネット通信サービス」の低価格化が激しく進行し、事業遂行の難易度が上がっていることが分かります。数年前にADSLの1Mbpsサービスが登場し、ブロードバンド化競争の幕があがり、2005年の今となっては、100Mbpsの光通信サービスが、当時のADSLサービス提供価格よりも安価に提供されていることからも分かります。
CATV事業者は、このような事業環境においていかに利益を確保しつつ、いかに地域密着型のサービスを提供していくか?という大きな課題に挑んでいるわけです。このような状況において、利益を確保するためには、新サービスを投入して売り上げを拡大すると共に、内部コストの低減が必須となります。
そして、新たに投入した新サービスも、図1に示すようにサービス提供価格の低価格化が進むことは必須であり、内部コストの低減を進めなければ、利益の確保はできないこととなります。
図1:内部コストとサービス提供コスト
株式会社キャッチネットワークも同様の状況にあります。この状況の中、地域密着型サービスを提供し続けて利益を確保するために、内部コスト低減をはかる一手段として「社内バックオフィス業務最適化に向けたシステム導入」を検討されていました。そして、このERPシステム導入には、「自社のプロセスを可視化し、プロセスの最適化を検討・実施することが重要である」という認識を持たれていました。
この検討の方向性は、情報通信サービス業界の国際的標準団体であるTMF(TeleManagement Forum)が、eTOM(enhanced. Telecom Operations Map)という次世代通信プロセスのフレームワークを提唱し、プロセス最適化が必要であるというメッセージを発信していることからも、非常に重要であることが分かります。
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著者プロフィール
IDSシェアー・ジャパン株式会社 渡邉 一弘
工場でのHDD製品設計を経験後、SEとしてシステム構築を担当。日々、現場の業務とシステム機能の「ギャップ解消」に悩み、業績に直結するシステムやROIを求める経営者に対し、解決策として見出したのが「プロセス管理」というキーワード。現在は、IDSシェアー・ジャパンにてプロセス管理ツール「ARIS」のプロセスコンサルタントとして従事。
INDEX
第7回:プロセスの検討が必要な理由
なぜプロセス検討が必要だったのか?
プロセス検討の第一歩
新しいプロセス策定に向けた検討
プロセスの活用