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IdbAで構築する生産性が高いリッチクライアント

第5回:開発生産性を向上するIdbA R2.0と、その方向性
著者:サイオ  柏 貴光   2006/2/21
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リッチなのは画面だけでよい?

   まず、リッチクライアントが登場した背景を紐解いて解説します。アプリケーション開発側の立場から見ると、アプリケーション配布の手間がかからないという「運用・保守性の向上」、ユーザの立場から見ると表現力や操作性といった「生産性の向上」があります。

   Webブラウザの機能を拡張する技術として「リッチ・インターネット・クライアント」いう名称で誕生したこの技術は、それぞれ実装するベンダーによって特色が分かれ、様々なテクノロジーが乱立しながらも大きなくくりの中で発展し続けています。

   現在はそれぞれの特色にそって企業内(In B)で利用されたり、コンシューマに提供されたり(B2C)してすみ分けができており、開発者側と利用者側がそれぞれ適した製品を選択・採用できている状態だと思います。

   コンシューマ向けに提供されるリッチ・インターネット・アプリケーション(RIA)としてアドビ システムズ社(旧マクロメディア社)のFlashは爆発的に普及しています。また、そのデザイン性は高く、「女性ユーザの増加」という効果を生み出している事例もあります。

   こうした背景を受け、着実にリッチクライアント市場は拡大してきており、気付かない内に多くのPCにもそのテクノロジーがすでに入っているかもしれません(人間というのは勝手なもので、不便になるとすぐ気付きますが、便利になる分にはほとんど気にしないものです)。

   特に、Ajaxなどは完全にプラグインレス(既存の技術の組み合わせ)であり、今まで通りのWebブラウザと環境で、それまでの限界を超えるパフォーマンスを見せています。こういった「気付かない間に便利になっている」といったようなことが、より多くの場面で見受けられるようになるでしょう(ユーザに意識させないという点で、これはソフトウェア提供者が目指す理想形ではないでしょうか?)。


表現力と操作性だけがリッチになればよい?

   表現力と操作性がリッチになれば、コンシューマ向けサービスの質が向上し、結果として利用者の生産性が向上することが十分に期待できます。これは企業内システムでも同様で、Webブラウザそのものを利用したシステムからリッチクライアント技術へ移行することで、業務における生産性の向上は十分に期待できます。

   しかし、そこで満足してよいのでしょうか。表現力と操作性をリッチにするだけでリッチクライアントの課題は解決されるのでしょうか。インターネットが一般化し、ネットワーク大国となった日本においてクライアント環境をリッチにするというのは、本当にそれだけなのでしょうか。もっと、より自由度の高い環境が考えられるのではないかと著者は考えています。

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株式会社サイオ 柏 貴光
著者プロフィール
株式会社サイオ  柏 貴光
大阪の大学を卒業後、SI企業に入社。SEとしてオープン系システムの設計、開発から導入までを幅広く行う。2005年4月にサイオへ入社し、IdbAの可能性を世に広めるためライセンシング事業の立ち上げに尽力する。IdbA製品企画を担当する傍ら、同社のメールサービス「SCIO RHYTHM」の編集長も手がける。また、Linuxコンソーシアム・リッチクライアント部会リーダーを務める一方、運営委員メンバーとして広報を兼任し、同コンソーシアムが発行するメールマガジンの編集長を担当している。


INDEX
第5回:開発生産性を向上するIdbA R2.0と、その方向性
リッチなのは画面だけでよい?
  自由度とセキュリティのトレードオフ
  IdbA R2.0の新機能
  設計〜コーディング〜配布までをシームレスに繋ぐモデリング・ツール