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はじめに
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前回まではデータベースエンジンにまつわる話題を掲載してきました。データベースのパーティショニング(複数データベースへのテーブルの分割)や、複数のデータベースサーバを連動して動かすには高度な技術を実装する必要があること、さらにデータベースのコピーを作成するレプリケーションはデータベースのテーブル分割とは異なった技術が必要であることなどを解説してきました。
今回はデータベース技術者に2種類あること、これらの技術者が現在どのようになっているのか、今後の育成を含めてどのような方向を考えなければならないのかについて、解説および提案をしてみることにします。
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データベースエンジンの内と外
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本連載で解説してきたテーマは、すべてデータベースエンジンの内側の議論でした。
これまで解説してきた技術トピックのどれかが現実に使えるようになったにせよ、トランザクションを含め、データベースの操作はほとんど今まで通りSQL文で可能なのです。データベースの「外側」から見ると、内部構造がどのようになっていても、外からはかなり似て見えるものなのです。
図1:データベースの内と外
現在数え切れないほどのデータベースの技術解説、ノウハウの書籍があふれており、また、データベース関連の技術資格もたくさんありますが、これらはすべてデータベースを「使う」ためのものであって、データベースエンジンを作るためのものではないのです。このような情報をデータベースの「外側」の情報と呼ぶことにしましょう。
反対に、データベースエンジン自身の実装に関係する部分はデータベースの「内側」と呼ぶことにしましょう。後で解説しますが、データベースの内側はSQL文と無関係ではありませんが、SQL文の実行をサポートするのに必要な実に多方面にわたる技術が使われているのです。
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データベース技術者、内と外
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まずはデータベースの外側から見てみましょう。データベースを使いこなすという意味では、情報は十分過ぎるほどありますし、システムの中でのデータベースの位置づけも確立していて、技術者の数もかなり多いといえます。
一方、データベースの内側を支える技術者はどうでしょう。最近まで、データベースエンジンは専門のソフト会社などで作られるものであって、その外側から実際の実装を伺うことは簡単ではありませんでした。データベースも使うための技術を中心に発展し、内部実装技術はこれらベンダーの奥深くにしまいこまれた状態が長く続いていました。
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著者プロフィール
NTTデータ先端技術株式会社 鈴木 幸市
Unixにおける日本語ハンドリング、Oracleの移植、オブジェクトリレーショナルデータベースのエンジンの開発などに携わる。現在、NTTデータ先端技術にてLinux、PostgreSQLなどのオープンソースソフトウェアに関する技術を統括している。著書に「RDBMS解剖学」(翔泳社)、訳書に「オブジェクト指向データベース入門」(共立出版)など。
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