データベースサーバー統合の流れ

2009年10月1日(木)
山本 祐介

データベースサーバーを統合する流れ(1)

<Step1:目的を考える>

 まずは、サーバー統合プロジェクトの目的を明確にすることが必要です。単に目的といってもさまざまなレベルがあると思いますが、私が直接お話するケースが多い情報システム部門の方々からは、「ITコストのxx%削減」や「既存システムにかかる運用コストのxx万円削減」など。また経営層からはコスト削減という大きなテーマを与えられていると聞いています。参考までに、Oracle Directで実施している「仮想化アセスメントサービス」(http://www.oracle.com/lang/jp/direct/service/ovm.html)でのお客さまの仮想化検討の動機を挙げておきます(図2-1)。

 ただ、プロジェクトとしては、ここからもう一段のブレークダウンが必要です。というのも、例えば単に”ITコスト”といっても広範囲にわたり、それらすべてを同時に考えるとプロジェクトの難易度が上がってしまいますし、またユーザー部門にも影響が及ぶケースがあります。当然ながら、技術的にどのような選択をするかにも影響があります。

 こうしたことから、複数の目的をいくつかのフェーズに分けて順番に達成していくのが現実的な選択肢になります。以下は実際にITコストをブレークダウンしたお客さまの例です。

・どうやらデータセンターのコストが大きな比重を占めている → 最短の解決策は? → とにかく(ユーザー部門への影響を抑えて)サーバーの台数を減らすのが一番の近道

・システムの数に対して自社内で対応できる人員が少なすぎるため、事あるごとに外部から技術者を派遣してもらっており、年間で集計してみると多大なコストになっていた → 最短の解決策は? → 物理的なサーバーの数を減らすのはもちろんだが、自社の人員で対応できる数まで、システムを統合することを優先する

 ここでは、最も多い目的であるコスト削減を取り上げましたが、こうした形で目的をブレークダウンして明確にしておくことは、この後のフェーズでも非常に重要になってきます。

データベースサーバーを統合する流れ(2)

<Step2:現状を把握する・資産表を作成する>

 次が現状把握、いわゆる“見える化”のフェーズです(場合によってはStep1より先もしくは同時並行で行います)。このフェーズは技術的な方式選定はもちろん、最終的な目的を達成するためのシミュレーションなどでも大変重要な情報となりますので、時間も労力もかかりますが、根気強く収集します。

 どのような情報を集めるかは、(調査しておきたい項目はたくさんありますが)上述の通り大変な作業ですので、最低限必要な情報を挙げると、次のような項目があります。

・サーバーの使用状況:
CPU・メモリの使用状況(時間帯別)、Disk・ネットワーク I/O(時間帯別)、OS、インストールしているソフトウエア、設置場所等

・コスト状況:
ハードウエア、ソフトウエア、データセンター、運用委託費等

図2-2は、Oracle Directでご提供しているサーバー資産表です。こうした形で現在のサーバー資産・コストを“見える化”します。

<Step3:システムをグルーピングする>

 Step2で整理した各サーバーを何らかの軸によってグルーピングします。グルーピングに利用する軸として通常は、企業活動へのインパクト=システムの重要度で行うことをお願いしています。3~5段階程度で、各システムをグルーピングしていきます。

・一切のシステム停止が許されない → Group A
・1時間程度の停止は許される → Group B
・12時間程度の停止は許される → Group C
・24時間程度の停止は許される → Group D
・72時間程度の停止は許される → Group E etc…

 合わせて、バックアップや災害対策についても各グループで検討いただくこともあります。こちらのセミナー(http://www.oracle.co.jp/iSeminars/081203_1100/20081202_SP_BCP.pdf / P13)では、大手食品企業のシステムグルーピングについてお話していますので、参考にしてみてください。

日本オラクル株式会社
Oracle Direct / Technical Service Group 所属。Oracle Database, In-Memory Solution, 仮想化などの製品を担当し、プリセールス活動やオンラインセミナー(Oracle Direct Seminar: http://www.oracle.co.jp/direct/seminar/)等による情報発信を行う。現在はWindows Server上でのOracle製品活用を推進している(http://www.oracle.co.jp/campaign/mb_tech/

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