データベースサーバー統合の流れ
はじめに ~本連載について
Oracle Databaseは、登場から30年以上がたち、数多くのシステムで使われてきました。また、2009年7月には資格制度であるOracle Masterをお持ちの方が20万人を突破するなど、たくさんの技術者の皆さまによって支えられてきました。
ただ、現場でお客さまにご提案する際、またパートナー企業と協業させていただく際に度々感じるのが、Oracle Databaseが持つ真の能力を最大限ご活用いただけていないということです。
というのは、Oracle Databaseがデータを格納する箱である“データベース”として選ばれてきた世代である「Oracle8」や「Oracle9」のころの機能をベースに、現在でもシステムを構想・構築されているケースが多いからです。
これは、いままでOracle社が適切な情報発信ができていなかったのも一因だと考えているため、こうした反省を踏まえて、現状では「Oracle Database 10g」や「Oracle Database 11g」が持つ、優れた機能を生かした”データベース・インフラ”としての活用をご提案しています。
ただ、マーケティング的なお話や機能だけのお話をしても、現場で活躍している読者の皆さんにとって有益な情報にはならないかと思います。
本連載では、実際に現場で挙がる課題・ニーズに対して、Oracle Databaseの真の能力を生かしてどのようにご提案しているかを、よくご依頼を受けるテーマ(サーバー統合、パフォーマンス・チューニング、障害対策、災害対策を予定)でお話したいと考えています。
5回にわたる連載では、執筆時点(2009年9月)で発表されたばかりの「Oracle Database 11g Release2」についても可能な限り情報を盛り込みたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ここ数年増加してきたデータベースサーバー統合
第1回のテーマは、「データベースサーバー統合」(以下、サーバー統合)です。私が所属するOracle Directでは、日々たくさんのご相談をお客さまから直接頂いており、また無償の技術支援サービス(http://www.oracle.com/lang/jp/direct/services.html)も行っています。サーバー統合は、ここ数年でご相談が非常に増加したテーマの1つであり、読者の皆さまにも身近なテーマではないかと考えています。
今回は以下のような流れで、サーバー統合についてお話したいと思います。
(1)最近の動向
(2)統合を考える:目的を考える→現状を把握する→システムをグルーピングする
(3)統合方式を選択するポイント
(4)Oracleでしかできないもう1つの選択
まず、サーバー統合の最近の動向についてお話したいと思います。上記でお話したようにここ数年ご相談が増えたテーマです。その背景を簡単に見てみます。
システムに関して言うと、システムごとにサーバーを用意する個別最適型のシステム構築がトレンドとしてあり、企業内にはサーバーが乱立してしまっている状態でした。サーバーが古くなったタイミング等でリプレースを順次行ってきましたが、個別最適の考え方は変わらず、乱立状態は長く解消されませんでした(図1)。
こうしたシステム的な背景があった上で、経済環境の悪化や競争力確保のためのコスト見直しといったビジネス的な背景が登場し、乱立してしまったサーバー郡にメスが入ってきたというのが、現場でお客さまから聞くサーバー統合を検討する一番の理由です。もちろん、こうしたお客さまの課題・ニーズに応えることができる技術的な選択肢が増えてきたということも合わせて考えられます。
■データベースサーバー統合を考える
データベースサーバーの統合を考える際の一般的な流れは、以下のようになります。
<Step1:目的を考える>
<Step2:現状を把握する・資産表を作成する>
<Step3:システムをグルーピングする>
これらについて、次ページより順番にお話していきます。