モバイル動画配信の仕組みを知ろう
携帯動画を配信するために必要なこととは?
携帯動画と言ってもこれだけの種類や仕様が存在しているということを踏まえた上で、3キャリアの携帯すべてに動画を配信しようと思った時、一体何種類の動画ファイルを用意する必要があるでしょうか。
先にも述べたように、携帯動画にはさまざまなファイルコーデックが存在し、混在しています。そのためPCサイトのようになかなか手軽には動画配信が実現できません。
まずはじめに必要なシステムとして、携帯動画を視聴しようとアクセスしてきたユーザーの端末情報(キャリア/機種)を認識させる必要があります。そして、その端末向けに最適化されたムービーファイルを配信するように、自動判別するシステムが必要になります。
次に、ムービーファイルを最適化する仕組みが必要になります。さすがに何種類ものファイルを手動で変換することは現実的ではありませんので、これらも1回のステップで自動変換するシステムが必要になります。
また、アクセスしてきたユーザーに最適な動画ファイルを再生してもらうためには、どういった仕組みや管理が必要でしょうか。一気にアクセスが集中した時、どのくらいの負荷まで耐えられるサーバーを用意するかなど、やはり携帯動画を配信しようとするとなると、一筋縄ではいかない大きな課題が多くあります。
しかし、近年の携帯動画の現場では、これら配信に関する問題点を解決するための機能を持ったASP型のサービスも多く普及しています。
・J-stream(http://www.jstream.jp/mobile/)
・Keitai Video(http://fujifilm.jp/business/promotion/kv/)
・OPTMovie(http://www.webtech.co.jp/optmovie/)
・デリバリDOGA(http://www.xenomedia-blend.com/DOGA/index.html)
これらの各社ASPサービスの大きな特徴と共通点については図3-1にまとめました。
このように、携帯動画配信に関するあらゆる問題点を簡単に解決してくれて、自社サーバーに一切負担をかけることなくすぐに配信できるなど、最小限の手間で運営することができるという点が人気を呼び、現在では動画配信を行う多くの携帯サイトで採用されています。
アプリケーションを使った長尺動画配信
映画やドラマ等をノンストップで再生させるといった、携帯での長尺動画を配信する場合には、アプリケーションを使ってストリーミング配信させる方法があります。
このアプリケーションは、オリジナルで開発することも不可能ではありませんが、オリジナルで開発するとそのアプリケーション自体をユーザーに配布することに多くの課題を生むことになります。
やはりこの場合、採用しているアプリケーション自体がユーザーに浸透しているASPサービスを活用することが一般的と言えるでしょう。
しかし、アプリケーションはJavaで作られているため、docomo、SoftBankのみの対応で、3キャリア対応ではないという問題も抱えていますが、コンテンツホルダーを中心にニーズは高まってきています。また、若年層に人気のある無料動画配信ポータルサイトの多くが「jig movie(http://movie.jig.jp/)」のようなプレーヤーを使って運営されているのも特徴です。
このように、現在の携帯動画配信にはあらゆるニーズに対応した技術が開発され多くのユーザーに親しまれ、さまざまなシーンで活用されています。
次回は、実際に携帯動画を配信するための手法や具体的な導入手順などについて紹介します。
なお、本稿の執筆にあたって、以下を参考にしました。
「プレスリリース ビートレンド、携帯機種毎のアクセス実勢を調査」(http://www.betrend.com/betrend/news/2008/0819.html)(アクセス:2008/10)
「iモード技術者情報」(http://www.nttdocomo.co.jp/service/imode/make/content/imotion/)(アクセス:2008/11)
「EZムービー技術者情報」(http://www.au.kddi.com/ezfactory/mm/ezmovie1.html)(アクセス:2008/11)
「SoftBank ムービー 技術資料」(http://creation.mb.softbank.jp/doc_tool/movie.html)(アクセス:2008/11)