モバイル動画配信の仕組みを知ろう

2008年11月2日(日)
池辺 政人

携帯動画に対応している端末とは?

 携帯動画と言っても、再生できる端末とそうでない端末があります。主に3G(第三世代携帯)と呼ばれる端末が携帯動画に対応しています(一部、第二世代携帯でも再生可能)。

 そして現在、携帯からモバイルサイトにアクセスするユーザーの97%がこの3G携帯の利用者であるというデータがあるように、ユーザーのほとんどが携帯動画を再生できる端末を使用していると考えられます(参考:モバイルWeb構築の最新潮流(http://www.thinkit.co.jp/article/145/1/))。

 このことからも、昨今の動画コンテンツの注目度が上がってきている理由も当然の結果であると言えます。

キャリアによって異なるファイルコーデック

 携帯動画をさまざまな情報配信ツールとして利用するならば、当然、3キャリアで再生できなければその効果は見込めません。

 しかし、ここにもちょっとした問題があります。それはモバイルサイト同様、3キャリアで携帯動画の規格が統一されていないという点です。さらに、各端末ごとに細かいパラメーターの調整や、同じキャリアでも通信方式の違いに合わせて、それぞれに最適化された動画ファイルを用意する必要があるのです。

 各キャリアのムービーファイルフォーマットは図1-1になります。

 さらに各キャリアごとに、通信方式が古い機種・新機種でダウンロードできるファイルサイズにも違いがあります(図1-2)。そのほかにも機種によって、画面解像度にもいくつか種類があります。

 ほとんどの機種が「QCIF(176×144)」に対応し、新しい機種は「QVGA(320×280)」の高解像度に対応しています。QVGA対応の機種では、画面横型でフルブラウズでの再生が可能になるため、十分な画質で表示することができます。

 また、auでは独自の画面サイズ、LサイズとLLサイズがあります。LLサイズは縦画面で再生した時、液晶画面横幅いっぱいのサイズです。これくらいの画面サイズで配信できれば動画の中で表示されるテキストテロップも読むことが可能なので、最低限このくらいの表示サイズが求められると思います。

 また、auの機種は動画再生中に「8」のボタンを押すと横型全画面に拡大表示する機能も付いてます(画質は落ちます)。

 さらに、携帯動画とはいえ基本的には動画(映像)ファイルですから、その中にもいろいろなパラメーターが存在し、個々に設定する必要があります。そしてもちろんキャリアごとにその設定値も多少変わってきます。

 それを知らないと、配信してみた携帯動画の画質がひどくなってしまったり、パラパラマンガよりひどい荒い動画になってしまったり、音声が聞き取りにくくなってしまったりという不具合が発生します。

 次は、技術的な部分を詳しく紹介します。

株式会社Xenomedia blend
代表取締役/ビデオディレクター。独学で映像制作の技術を学び、スノーボード、サーフィンのビデオ制作を経て2007年4月にインターネットに特化した映像制作会社を設立。現在はコンテンツ制作をメインにモバイルプロモーションの企画や PC・携帯の動画配信のインフラを提供する。http://www.xenomedia-blend.com/

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