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OSS業務システム
オープンソースで構築する業務システム特集

第9回:国産オープンソースCRM「SalesLabor」、FAQシステム「QuestionLabor」
著者:ネットワーク応用通信研究所  山崎 裕美   2006/07/27
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製品名の「Labor」に込められた理念

   以上、オープンソースで業務システムを構築するというメリットをわかっていただけたでしょうか。ここで、オープンソースソフトウェアとプロプラエタリソフトウェアの特長を活かした「Labor」シリーズについて触れます。

   「Labor」は「労働」という意味ですが、「単調で単純な労働」というニュアンスもあります。多くの企業のユーザは単調で単純な労働に1日の多くを割き、本当にしたいことは後回しになっていると思いますが、SalesLaborはそれを解決します。

   Laborシリーズでは単調かつ単純な労働はシステムに任せて、ユーザがより知的な活動に注力できるようにする「気の利いた下働きをする」システムを目指して開発を進めています。そしてそれは、業務システムでありがちな「ユーザがシステムにあわせて業務を行う」のではなく、「ユーザの業務にあわせたシステムの構築」を目指しています。ここでは、カスタマイズ性の高さや開発元の事情というオープンソースならではの特長が活かされているのです

Laborシリーズの機能的特長

   「SalesLabor」「QuestionLabor」のLaborシリーズはGPL(注2)で公開するソフトウェアです。システムの設計はこの特性を活かしたものとするために、次のような特長を持たせてあります。これらのことにより、オープンソースである特性を活かしつつ、商用として耐えうるように開発されたソフトウェア品質の高さをあわせ持たせています。

※注2: GPL:
「再配布や改良を自由に行ってもよい」というフリーソフトウェアのライセンスの一形態。その際、ソースコード開示の義務付けを行うなど、相当厳しい条件が課されている。

   それでは、ここからLaborシリーズの機能の特長について解説していきます。


カスタマイズをしやすくする単純なロジック

   一般的な商用CRMとは異なり、SalesLaborはソースに直接手を入れるカスタマイズをすることを前提としています。そのためソースに手を入れやすいように、極力単純なロジックにしました。カスタマイズがしやすいことはもちろんですが、同時にメンテナンスもしやすくなるのです。


一括サポートの提供

   有償でカスタマイズから保守まで当社でまるごとサポートをしており、これがLaborシリーズのビジネスモデルとなります。オープンソースソフトウェアの導入に際してエンジニア不足が課題とされていますが、その心配も不要です。また「提案 → カスタマイズ → 運用」に至るまでの、できる限り詳細なドキュメントを提供しています。


インターオペラビリティの確保

   既述以外の大きな特長として、インターオペラビリティ(複数の異なるものを接続したり組み合わせて使用した時に、全体として正しく動作すること)の確保があります。

   LaborシリーズのUIはWebブラウザを利用するものだけではなく、専用のGUIフロントエンドも用意されています。これは軽快なUIを提供するだけではなく、アプリケーションプログラムはUIに依存しないということを示しています。このようにLaborシリーズはUIだけではなく、データベースや開発言語に至るまで「現在の環境に深く依存しない」設計となっています。これは、業務システムが求める「寿命の長いソフトウェア」にあったものといえるでしょう。

SalesLaborの顧客管理画面(リッチクライアントの場合)
図2:SalesLaborの顧客管理画面(リッチクライアントの場合)
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

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株式会社ネットワーク応用通信研究所  山崎 裕美
著者プロフィール
株式会社ネットワーク応用通信研究所  山崎 裕美
2003年4月にネットワーク応用通信研究所に入社。「SalesLabor」「QuestionLabor」の開発を担当し、現在はOSS応用推進グループに所属して社内外のオープンソース業務システムの開発を行っている。


INDEX
第9回:国産オープンソースCRM「SalesLabor」、FAQシステム「QuestionLabor」
  業務システムをオープンソースとする理由
製品名の「Labor」に込められた理念
  日本の商習慣に完全対応しているCRM「SalesLabor」
  複数回答や集計など現場にあわせた機能