 |

|
システム作りのもやっと感を解消する「MOYA」 |
第5回:MOYAのまとめとこれから
著者:NTTデータ 平岡 正寿 2007/11/13
|
|
|
前のページ 1 2 3 4 次のページ
|
 |
プロジェクト目的を共有することの重要性
|
ところで、読者の皆様が顧客とシステム開発のプロジェクトをはじめる際には、どのような形式であれプロジェクト目的は明確化されているのではないでしょうか。
「なんとなく、システムが欲しい」というようなことはないはずです。
にも関わらず、MOYAは「プロジェクト目的の明確化」を大きな柱として考えています。なぜすでに明確化されているプロジェクトの目的を、再考する必要があるのでしょうか。
MOYAでは、プロジェクトの目的は顧客からシステム開発者にただ単に伝えられるものではないと考えます。当然、コンサルタントやシステム開発者が顧客をおもんばかって作り出すものでもないでしょう。
我々は、プロジェクトの目的は以下のようなものと考えています。
- お客様/システム開発者を含めた利害関係者が自分たちだけの利益を主張するものではなく
- また自分たちの想いを押さえ込んで妥協するものでもなく
- そこに関わる人たちが利害や妥協を超えて、「自分の意思」として共有するもの
表5:MOYAでのプロジェクトの目的
こう意識することで、プロジェクト目的が誰からも与えられたものでなく、自らが考えて自らに課したものであると認識されるはずです。そして、そこからプロジェクトへの主体的で前向きな関わりが生み出され、プロジェクトを成功させようとする意識が醸成されるのです。
MOYAが「プロジェクト目的の明確化」を大きな柱としている理由がここにあります。
とはいえ、実際にはさまざまな利害を持つ多くの関係者を巻き込むことは容易ではありませんし、まして合意することは難しいでしょう。最初の段階では特定の利害関係者(例えば、顧客の情報システム部門)だけでも要求が定義できるようにも思えます。
しかし、そこに参加していない利害関係者が後からその目的をひっくり返すかもしれませんし(上層部がプロジェクトをひっくり返したなんていう話はよく聞きますよね)、プロジェクト目的を自分のものと考えられない人(合意できていない、腑に落ちていない人)が目的を軽視した行動をとるかもしれません。
利害関係者を確実にプロジェクトに巻き込みながら、その人々が真に自分のこととしてプロジェクトに関わってくださるかどうかがプロジェクトの成否を分けるといっても過言ではないでしょう。
|
前のページ 1 2 3 4 次のページ
|

|
|

|
著者プロフィール
株式会社NTTデータ 平岡 正寿
基盤システム事業本部 システム方式技術ビジネスユニット 第一技術統括部 第一システム方式技術担当
SIerやコンサルティング会社を経て、2004年よりNTTデータに。システム開発がみんなを幸せにするには「上流工程こそ重要」という想いからMOYA策定プロジェクトに参加。現在、MOYAをブラッシュアップするとともに、多くの人に「知ってもらう・使ってもらう」ことに尽力している。
|
|
|
|