【新・言語進化論】土日に買って勉強したい「言語」本
第2回:Think ITライター陣を支えた書籍たち
編者:シンクイット編集部
公開日:2007/11/10(土)
システム開発からコンサルティングまで活用している
続いては、「今だから知っておきたいXMLデータベースの成功ポイント」や「ビジネスとITのギャップを埋める〜システム開発の失敗を招く4種類のギャップ〜」などの連載を執筆しているウルシステムズの林 浩一氏が推薦する1冊だ。
「技術者に成り立てのころですから20年近く前のことになります。ワークフローシステムの欠点を補い、もっと自然に業務を支援できるシステムのGUIについて検討していました。使いやすいGUIを提供するにはどうしたらよいのか試行錯誤していたときに、同僚に勧められてこの本を読みました。
この本には、ものをデザインするときに『使う人が持っている身体的・心理的なさまざまな制約などをうまく用いる必要がある』ということが書かれています。この本を読んで、わかったのはユーザがどう理解しているかという内面に踏み込まない限り、よい設計はできないということでした。
ユーザの内面をモデル化したうえで、理解をリードすることができるように自然に情報を提供することがいかに大切かを知りました。古い本ですが内容は今なお新鮮で、読む度に新しい発見があります。
その後、システム開発での設計はもちろん、上流工程での戦略の立案を提言するコンサルティングの仕事でも、この本で学んだことを活用しています」
ウルシステムズ株式会社
林 浩一
ディレクター
オブジェクト指向言語、XML、グループウェアに関する技術の研究開発の後、コンサルティングに従事。現在は、経営視点からの技術戦略を支えるCIO支援から、先端ITを駆使したシステム開発まで、ビジネスとITのギャップを埋めるさまざまなITコンサルティングを行う部門を率いる。ロジカル・シンキングなどのコンサルティング手法とシステム技術を融合したIT技術者のための新しいスキル体系を模索中。
誰のためのデザイン?−認知科学者のデザイン原論
著者:ドナルド・A.ノーマン、野島 久雄(翻訳)
発行:新曜社
価格(税込み):3,465円
ISBN:978-4-78850-362-5
仕様:427ページ
発行日:1990年02月
首都圏コンピュータ技術者株式会社
工藤 一樹
株式会社野村総合研究所 オープンソースソリューションセンターにて活動中。オープンソースのミドルウェアの検証・評価、フレームワークの設計・開発など、NRI OSSCにおけるさまざまなプロジェクトに携わる。直近では、Ruby on Railsを利用した情報系システムの設計・構築なども行っている。NRI松野 洋希のThinkIT掲載記事「Javaサーバサイドプロファイリング」記事執筆に協力していたメンバー。
NRIオープンソースサポートサービス OpenStandia
http://www.nri-aitd.com/openstandia/
首都圏コンピュータ技術者株式会社
http://www.mcea.jp/
Javaの格言−より良いオブジェクト設計のためのパターンと定石
発行:ピアソンエデュケーション
ISBN:978-4-89471-187-7
仕様:324ページ
価格:2,400円
発売日:2000年04月
Javaフレームワーク開発に役立ったこの1冊
最後は、「Javaサーバサイドプロファイリング」や「今からはじめるMySQL」など、野村総合研究所による記事作成に携わっている、工藤 一樹氏が推薦する1冊だ。
「今から数年前、私がJavaを使いはじめて2年程たった頃に、独自のJavaフレームワーク(以下FW)を開発する機会がありました。当時は、今でこそ定番となっているStrutsでさえ日本ではほとんど浸透していない時期でした。
FWを開発するには、クラスをどのように抽象化すべきか、インスタンスや例外処理の管理方法をどのようにすべきか等々、考慮すべきことが数多くあります。いろいろと行き詰っていた折、偉大な先人達が考えたノウハウを探すべく書店にでかけてみつけたのが、この『Javaの格言』でした。この本にはFWを開発する為に有益なヒントが数多く含まれていました。
さらにこの本がきっかけで、デザインパターンやオブジェクト指向、UMLに興味を持つようにもなりました。
その後ITアーキテクトとして、いくつかのFW開発に携わりましたが、基本的な思想はこの本の影響を受けているのだなと、久しぶりに読み解いて気付きました」
これらの書籍は、どれも第一線の技術者を育てた1冊である。時代を経ても変わらない開発の基本を伝えてくれる。入手する/手にする機会があれば、ぜひ目を通してもらいたい。
次回は
次回は、11月の特集「新・言語進化論」をさらに有効活用するための参考書籍を一挙に紹介。さらにシンクイット編集部が街へ飛び出して言語関連書籍を安価でゲットする「挑戦・500円でどこまで買える!?」をお届する。公開は11月23日だ。 タイトルへ戻る