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UML導入に関する考察
UML導入に関する考察

第1回:UMLの現状
著者:野村総合研究所  田中 達雄   2005/06/16
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UMLモデリング技能認定

   UMLモデリング技能検定はオージス総研が実施していたUML技術者認定制度を拡張し、2003年11月に実施母体をUMTP(UMLモデリング推進協議会)へ移行させたものである(筆者がこの資格を取得したときは、オージス総研が実施していたときだった)。

   認定資格はL1-T1が2003年11月、L1-T2が2004年3月、L2は2004年10月から開始され、2005年5月現在でL1は約2000名、L2は75名が取得している。L3については現在スキルレベルや範囲など検討中であり、2006年5月を試験開始見込みとしている(表2)。
L1:簡単なUMLモデルの意味が分かる
UMLなどを使ってモデリングを行う最低限の知識を持っている。オージス総研が実施した資格の「Bronze」に相当

L2:UMLモデルの読み書きが普通にできる
開発範囲の一部を担当し、モデリングできる。他社のモデルの意味を理解できる。オージス総研が実施した資格の「Silver」に相当

L3:実務でモデリングが実践できる
ビジネスモデリング・分析・アーキテクチャ設計・組み込み開発を行うための専門的な知識を備えている

L4:実践に基づいてモデリングを指導できる
L3のスキルを有し、開発プロジェクトでモデリングを一定数あるいは期間実践した経験を持つ

表2:UMLモデリング技能検定のレベル

   これら認定資格・認定機関に関わりを持つプレイヤーの多くはベンダーやSI企業であり、認定資格取得にも積極的に取り組んでいる。認定資格取得者を多く抱えることで、オブジェクト指向開発スキルの高さや人材の豊富さをアピールするために利用している。

   しかし先のソーリー氏の話では、普及率90%の米国より日本の方が資格取得者は多いとのこと。米国と比較し、認定取得者数が多い割には実務経験のある人材が少ないことが伺える。関係者の話では「日本のアクティブユーザ数は1〜2万人程度ではないか」との意見もある位だ。


UMLモデリング・ツール(ベンダー)

   次にUMLモデリング・ツールを提供しているベンダーを整理しよう。UMLに関わりを持つプレイヤーの中には、UMLがモデルの表記法であることから、UMLモデリング・ツールの提供ベンダーとして関わりを持っているプレイヤーが多くいる。表3に主要なUMLモデリング・ツールとそのベンダーを示す(ツール1つ1つの説明は各提供会社に委ねたい)。

ツール(ベンダー) ベンダー
ARIS UML Designer IDSシェアー・ジャパン株式会社
Real-time Studio 株式会社エーアイコーポレーション
Sun Java Studio Enterprise サン・マイクロシステムズ株式会社
JUDEシリーズ 株式会社永和システムマネジメント
MagicDraw UML 株式会社エッチ・アイ・シー
Konesa 株式会社オージス総研
Enterprise Architect スパークスシステムズ ジャパン株式会社
PatternWeaver 株式会社テクノロジックアート
Describe Enterprise 日揮情報ソフトウェア株式会社
IBM Rational Rose
XDE Developer
日本アイ・ビー・エム株式会社
OptimalJ 日本コンピュウェア株式会社
TAU/Architect、TAU/Developer 日本テレロジック株式会社
Nirvana 株式会社ニルソフトウェア
Interstage Apworks 富士通株式会社
Borland Togetherシリーズ ボーランド株式会社
Visual Studio .NET Enterprise Architect 2003 マイクロソフト株式会社

表3:UMLモデリング・ツールとベンダー

   UMLモデリング・ツールのベンダーの中では、Rational社を買収したIBM社がUMLモデリング・ツール市場シェアの多くを確保し、今のところUML標準化への影響力もRational社から継承している。IBM社に買収される以前のRational社は、3名のメソドロジストが所属していたこともあり、ベンダー中立なオブジェクト指向やUMLの発信基地としてアカデミックな世界やツール市場をリードしてきた。しかしIBM社に買収されたことによりその性質やポジションが変化しているように感じる。

   Rational社はUMLモデリング・ツールだけでなく、その人材もさることながらRUP(Rational Unified Process)という揺ぎ無い開発方法論を持っていることも事実である。他のプレイヤーがベンダー間において中立的な第2のRational社になるためには、世界に認められる確固たる開発方法論を手にする必要があろう。

   UMLモデリング・ツール全体のトレンドに目を向けると、UML 2.0ならびにMDA(Model Driven Architecture)への対応が挙げられる。UMLモデリング・ツールの世界ではMDAのコンセプトが広く受け入れられ、UMLモデリング・ツールとプログラミング開発ツールを統合した製品が多く提供されている。UML 2.0では、UMLからプログラムコードを自動生成する際に曖昧だった仕様を改善しており、MDA普及の後押しをしている。

   UML 1.xまでのUMLモデリング・ツールでは自動生成されるプログラムコードがツールによって異なっていたが、UML 2.0対応になることで異なるツールであっても生成されるプログラムコードが統一されると期待されている。

   しかし、UMLモデリング・ツールによって自動生成の精度が異なり、期待した通りの成果が得られない場合もあるので注意してほしい。以前は、クラス図からプログラムの静的な構造をプログラムコードとして生成する程度のツールがほとんどであった。しかし最近はシーケンス図などの動的なモデルからプログラムの動的なロジックをコードとして生成するツールも出てきている。

MDAとは?

   OMGが「20年持続するソフトウェアアーキテクチャ」を目標として提唱したアーキテクチャあり、プラットフォーム非依存モデルであるPIM(Platform Independent Model)とJ2EE/VisualBasic/Webサービス/CORBAといったプラットフォームに依存するモデルのPSM(Platform Specific Model)を定義している。さらにモデル間ならびにプログラミング言語とモデルのマッピングルールを定義することで、モデル間の変換やモデルからプログラムコードへの自動/半自動生成を可能にしている。

   MDAをサポートしているUMLモデリング・ツールではPIMをUMLで記述し、UMLからPSMへの変換もしくはPSMからプログラムコードへの変換を自動/半自動で行っている。MDAの良さはプラットフォームに依存ないモデルをベースに開発を行うことで、将来プラットフォームに変更があっても柔軟に対応可能となることや、プログラムコードを自動生成することで開発生産性を高める一助として期待できるところである。
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野村総合研究所
著者プロフィール
株式会社野村総合研究所  田中 達雄
1989年4月に富士通株式会社に入社。ソフトウェア工学を専門分野とし「UMLによるオブジェクト指向開発実践ガイド(技術評論社出版)」を共著。2001年2月に野村総合研究所に入社。現在、情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。Webサービス/BPMなどの統合技術、エンタープライズ・アーキテクチャなどが専門。


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