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スケジュールとコストに関する指標が一目瞭然にわかるEVM
スケジュールとコストに関する指標が一目瞭然にわかるEVM

第3回:データの推移からつかめる傾向とベースラインの作成・出来高計上基準
著者:プライド   三好 克典   2006/4/3
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指標値と予測値の推移

   出来高と実績コストの推移について紹介したが、次に、指標値(SPI/CPI)と予測値(VAC)の推移をグラフで見てみよう。
指標値(SPI/CPI)と予測値(VAC)の推移1
図2:指標値(SPI/CPI)と予測値(VAC)の推移1

   図2はSPI/CPIと完了時のコスト差異予測をグラフ化したものである。7日時点ではSPI/CPIともにかなり低く、完了時のコスト差異も90人日オーバーとなっているが、14日時点では明らかに改善傾向が見られる。

   次に図3のブルズ・アイ・チャート(SPI/CPIを統合したチャート)を見てみよう。

ブルズ・アイ・チャート1
図3:ブルズ・アイ・チャート1

   図3のグラフからも明確な改善傾向が見られるが、まだ予定(SPI/CPIがともに1.0以上)に追いついていないことも確かである。

   さて、この場合は表2のどの考えを実践するのが正しいのだろうか。

  1. 改善傾向にあるので、来週まで様子を見てみよう
  2. まだ遅れているので人員を投入しよう
  3. もっと詳しく状況を調べてみるか

表2:プロジェクトマネージャーがとるべき対応はどれか

   EVMはアラームを確実にあげてくれるのだが、原因や詳細の状況について示唆してくれるものではない。遅れている原因や改善傾向の原因について調べた上で、対処を考える必要がある。そういったことから、アラームがあがったら徹底的に原因を調べよう。よって、正解は表2の「3」である。

   そこで14日までの状況をもう少し詳しく調べた結果、表3のことが判明した。

7日までの状況
  1. 5人の担当がそれぞれ以前の引継ぎなどを抱えており、90%程度の工数しか投入できなかった
  2. 事前に作成したコーディング規約に沿ったプログラミングに慣れるのに時間を要した
14日まで状況
  1. 引継ぎ等については前週で完了した
  2. コーディング規約は十分に浸透した
  3. 遅れを取り戻すために少々残業した(それぞれが1時間/日)

表3:詳細に状況を調べた結果判明したこと

   難易度に差がないなど、下記の冒頭にあげた問題から考えると、この改善傾向は続きそうである。無理に人員を投入しても、7日までに発生した問題と同じオーバヘッドが予想されるため、ここではこのまま様子を見るという判断をした。

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株式会社プライド 三好 克典
著者プロフィール
株式会社プライド   三好 克典
前職にてプロジェクト管理や標準化が非常に重要であると考え、技術習得及び実践の場を求めてプライドに入社。現在、システム開発方法論「プライド」を軸に、プロジェクト管理、標準化、情報資源管理の支援に携わっている。

INDEX
第3回:データの推移からつかめる傾向とベースラインの作成・出来高計上基準
  はじめに
指標値と予測値の推移
  様子を見たあとの状況
  ベースラインの作成