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ビジネス・プロセス・マネージメントの現状 〜 「経営と情報の架け橋」の実現にむけて |
第3回:ARISを活用したビジネス・プロセス設計
著者:IDSシェアー・ジャパン 渡邉 一弘 2005/7/4
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eEPCモデル
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さて、プロセス・ビューの位置するモデル・テンプレートの中で、ARISの特徴的なモデルとして「eEPC」というモデルがあります。これはEvent driven Process Chainと呼ばれ、今日では欧米の学生が、経営学の一環として企業活動を表す記述方法として講義で取り上げられており、特にヨーロッパでは、一般的な記述方法です。
EPCの特徴としては、図5に示すように、企業活動が実行されるきっかけとしての「イベント」を記述し、企業活動が行われた結果どうなるかという状態を「イベント」として記述します。そして、「イベント → 活動 → イベント」と繰り返し記述していく方法が、EPCの基本的な記述方法です。
そして、ARISツールでは、従来のEPCの記述方法に「誰が」「どんなツールを使って」「どのデータを使って」「何をアウトプットとするのか」という情報まで記載できるということで、enhanced EPC(eEPC)と呼ばれています。
図5:eEPCモデルの表記方法
この記述方法は、他のワークフロー記述のように企業活動と企業活動を線でつなげ、分岐条件なども曖昧さを残したものとは異なり、企業活動を開始するきっかけとその結果を厳密に記述していかなければなりません。このeEPCを記述する際に非常に難しい点は、このイベントを明確にすることと、Topダウンでプロセスを記述する際に企業活動の粒度に合わせイベントの粒度を決定する点です。我々も、eEPC記述の際には、イベントの洗い出しに非常に神経を使っています。
ここで、コンピュータが、0と1という明確なデジタル世界の産物であるという現実を考慮すると、ITシステム開発の要件に曖昧さを残すということは、ITシステムが動かない可能性を残すということと同じと言えます。
この課題に対処するために、eEPCを利用して「どのタイミング」の「どの業務」で「どのシステム機能」を使用するのか、その際に「必要とする情報・データ」は何なのか、それは「誰が」実行するのか、という状態を明確に洗い出していくことが、非常に有効であると言えます。つまり、業務プロセスを明確にモデル化するということは、ITシステムを導入し、活用するための「要件」を明確に洗い出すことと同じであり、ITシステム導入には、必要不可欠であると言えます。
次回は、ビジネス・プロセス・モデリングにおけるARISの詳細な機能と、実際にモデルを利用・活用するための解説を行います。
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著者プロフィール
IDSシェアー・ジャパン株式会社 渡邉 一弘
工場でのHDD製品設計を経験後、SEとしてシステム構築を担当。日々、現場の業務とシステム機能の「ギャップ解消」に悩み、業績に直結するシステムやROIを求める経営者に対し、解決策として見出したのが「プロセス管理」というキーワード。現在は、IDSシェアー・ジャパンにてプロセス管理ツール「ARIS」のプロセスコンサルタントとして従事。
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