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サーバ仮想化
サーバ仮想化技術とその実践的評価ポイント

第2回:仮想化技術の活用方法
著者:野村総合研究所  松本 健   2005/8/17
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運用での活用

   もともと仮想化技術は、ユーティリティコンピューティングを実現する技術として、サーバリソースの柔軟な利用を行うために発展してきた技術である。そのため運用面における活用に対しての注目度が高まっている。ここまではサーバ仮想化技術のみでも可能な活用方法であったが、ここからは動的ワークロード管理技術も含めた運用への活用を考えてみる。
リソース最適配分

   まずリソースの最適配分があげられる。前回のサーバ仮想化の種類、動的ワークロード管理でも解説したが、負荷に応じて仮想サーバ間で動的なリソースの配分を行うことにより、余剰リソースを有効活用するものである。

   リソースの配分方法としては、各仮想サーバのピーク時間帯がわかっている場合の計画的配分方法と突発的なピークに対応する場合の配分方法があるだろう。前者は社内業務系システムで、朝・昼間にはオンライン処理を中心とした仮想サーバに対してより多くの物理リソースを割り当て、夜間にはバッチ処理を中心とした処理が多いため朝・昼間にオンライン処理仮想サーバに割り当てた物理リソースを、バッチ処理仮想サーバへ再割り当てするような場合である。

   後者は、インターネットでのチケットや商品販売のオンラインシステムなどで、発売当日などに突発的に想定以上のアクセスが集中しオンライン処理仮想サーバの処理が重くなってしまった場合に、他の処理をしている仮想サーバから一時的に物理リソースを剥奪しオンライン処理仮想サーバに再割り当てすることで処理負荷に対応する場合である。

リソースの最適化

図4:リソースの最適化
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


待機系サーバへの応用

   重要なシステムでは障害時でもシステム全体としての機能を維持するために、クラスタ構成などのH/A(High Availability:高可用性)構成をとる。これに仮想サーバを活用することも考えられる。

   複数のH/A構成のシステムの待機系サーバを1台の物理サーバ上に仮想サーバとして構築する。待機系の仮想サーバは、初期の構成時にはハートビート情報などを処理できる最小の物理リソースのみを与えておく。実際に障害が発生し正常系からフェールオーバしたら、正常なサーバと同等のリソースを動的配分する。これにより待機系サーバを通常よりも集積度の高い統合を行い、休眠リソースの削減をはかることが可能であると考えられる。

待機系サーバの応用

図5:待機系サーバの応用

   今回はサーバ仮想化技術の活用例について解説した。次回はサーバ仮想化技術の評価ポイントについて解説する。

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野村総合研究所株式会社 松本 健
著者プロフィール
野村総合研究所株式会社  松本 健
1994年早稲田大学大学院理工学研究科卒業後、同年野村総合研究所入社。現在、情報技術本部にてシステム基盤を中心とした新技術の調査・評価を行うITエンジニアとして活動。最近ではESB/BPM/ユーティリティコンピューティング/サーバベーストコンピューティング/RFIDミドルウェアなどの調査・評価を行っている。


INDEX
第2回:仮想化技術の活用方法
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運用での活用