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サーバ仮想化技術とその実践的評価ポイント
第2回:仮想化技術の活用方法
著者:
野村総合研究所 松本 健
2005/8/17
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本番機のテスト環境
前述の例を本番機のデバッグ環境にも応用できる。通常本番機でエラーが発生した場合、業務をとめるわけにはいかないので、システム稼動中にエラー原因の追究のための作業は行えない。本番機が仮想マシンで構築してあれば、本番仮想マシンをコピーあるいはバックアップしておき、他の物理マシン上に展開することで、本番とほぼ同じ環境を容易に構築することができる。
したがってエラー状況の再現やデバッグなどを稼動中の本番機とは異なる場所で、業務に影響を与えずに行うことが可能になる(図2)。
図2:環境の複製
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
このほかにもOSのセキュリティパッチによる影響をテストする際にも活用できる。OSのセキュリティパッチはセキュリティ上のリスクを抑えるためには必須であるが、各システム上で稼動しているアプリケーションへの影響についてはベンダー側では把握しきれない。
そのためセキュリティパッチを当ててみてアプリケーションの動作を検証しなければならない。しかし、本番機と同様の物理マシンを用意して運用中に調整が行われるソフトやハードの設定内容を含めると、常に本番機と同じ環境を維持するのは非常にコストがかかる。
仮想マシンであれば、最新の本番仮想マシンをコピーし、別の物理マシン上に展開することで、容易にセキュリティパッチの適用による影響を検証することができる。もちろんセキュリティパッチに限らず、他のアプリケーションの導入テストでも同様の効果がある。
古いサーバの統合
古くから動作しているいくつかのサーバシステムを仮想サーバにして、少数の物理サーバで稼動させれば、コストを削減することが可能になる。コンピュータのハードウェアスペックはすさまじい勢いで進化しており、高級なスペックのサーバも数年経たないうちに普通のパソコンと同じレベルになってしまうことも考えられる。
このように古いサーバを仮想サーバにして、1台の物理サーバマシン上で同時に稼動させることで、複数の古い物理サーバを削減することができる。性能的に数年前のサーバと比較しても現時点でのサーバは高速であるので、仮想サーバを動作させるオーバヘッドを差し引いても無理のない稼動ができる。
古いサーバ上のシステムで動くOSがすでにベンダーサポートの切れている場合がある。また、物理サーバのスペックが不足したので新しいマシンに乗せ変えようとしても、OSが古いためデバイスドライバが対応していないことが多い。これらの場合でも仮想サーバ上の仮想デバイスが古いOSに対応していれば、新しい物理サーバ上で稼動させることが可能になる。
理想的には、システムを新しいOS上で稼動するようにして移行すべきであるが、事情によりすぐにできない場合などには有効であるといえる。
図3:サーバの統合
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
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著者プロフィール
野村総合研究所株式会社 松本 健
1994年早稲田大学大学院理工学研究科卒業後、同年野村総合研究所入社。現在、情報技術本部にてシステム基盤を中心とした新技術の調査・評価を行うITエンジニアとして活動。最近ではESB/BPM/ユーティリティコンピューティング/サーバベーストコンピューティング/RFIDミドルウェアなどの調査・評価を行っている。
INDEX
第2回:仮想化技術の活用方法
仮想化技術の活用例
本番機のテスト環境
運用での活用